口の中にすむ細菌が腸の中で増えると、腸に慢性の炎症が出るクローン病や潰瘍性大腸炎といった難病を引き起こしたり悪化させたりする可能性があるという発表がありました。 |
『口内細菌、腸で増えると潰瘍誘発 治療薬開発に期待』
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口の中にすむ細菌が腸の中で増えると、腸に慢性の炎症が出るクローン病や潰瘍(かいよう)性大腸炎といった難病を引き起こしたり悪化させたりする可能性があると、慶応大や早稲田大などの研究チームが動物実験で確かめ、20日付の米科学誌サイエンスに発表した。治療薬の開発に役立つ可能性があるという。
クローン病などは原因がはっきりせず根治療法がない。研究チームは、患者の唾液(だえき)を、体内に細菌がいないマウスや遺伝的に腸内に炎症が起きやすいマウスに口から投与し、腸などを分析した。マウスの腸内では「クレブシエラ属」と呼ばれる細菌が増殖して免疫細胞の一種を過剰に刺激し、炎症を起こしているとわかった。健康なマウスでは炎症は起きなかった。
【朝日新聞デジタル 配信】
大人の口の中には、
300~700種類の細菌が生息しており、歯をよく磨く人で1000~2000億個、あまり歯を磨かない人では4000~6000億個、さらにほとんど磨かない人では1兆個もの細菌がすみついているとのことです。
これらの口内細菌には、カンジダ菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、肺炎桿菌、インフルエンザ菌など、全身疾患の原因菌も含まれていて、免疫力の低下とともに増殖し、病気を引き起こすことがあるそうです。
高齢者の
直接の死因で最も多い肺炎の原因は誤嚥性肺炎といわれています。
私たちは寝ている時にも唾液などを飲み込む嚥下(エンゲ)反射が起きているそうで、その時に細菌が胃に入れば問題ないのですが、高齢者の嚥下反射は低下していることが多く、その結果知らないうちに気管支や肺に細菌が入り込んでしまうことがあるとのことです。
他にも、
心臓の病気の一つである感染性心内膜炎の原因としても指摘されています。
心不全や心臓の人工弁置換術を受けた患者さんでは、血管の中の細菌が心臓の膜や人工の弁に付着して感染性心内膜炎を起すことがあるそうで、この心内膜炎を起す細菌の約4割は口の中の細菌といわれています。
今回の発表では、
腸に慢性の炎症が出るクローン病や潰瘍性大腸炎といった難病の原因の可能性が指摘されていますが、いろいろな情報を見てみると、口の中の細菌が血管に入り込んで、あちこちに影響を及ぼしていることは間違いないようです。
これからは、よりいっそう入念な歯磨きを心がけ、また細菌が血管に入り込む直接の原因となる歯周病へのケアを怠らないよう、細心の注意を払いながら暮らしていきたいと思います。
皆さんも口内環境にはくれぐれもご配慮願います。