『米航空宇宙局(NASA)は22日、火星の探査車パーシビアランスに搭載した装置で火星の大気の大半を占める二酸化炭素(CO2)から酸素をつくり出すことに成功したと発表した。』とのことです。 |
米航空宇宙局(NASA)は22日、火星の探査車パーシビアランスに搭載した装置で火星の大気の大半を占める二酸化炭素(CO2)から酸素をつくり出すことに成功したと発表した。地球以外の天体で酸素をつくったのは初めてという。「人類が火星に移住する目標に向けて期待できる成果だ。大量に貯蔵できれば地球に帰還するためのロケット打ち上げにも役立つ可能性がある」としている。
NASAによると、実験は火星の表面で20日に行われた。今回、装置の中で800度の高熱を加え、二酸化炭素分子を酸素と一酸化炭素に分解した。宇宙飛行士1人が10分間で呼吸する量に相当する酸素が得られた。
【 KYODO(共同通信) 配信】
火星で
宇宙飛行士1人が10分間呼吸する量の酸素が作られたという報告ですが、本当に素晴らしい出来事だと思います。
つまり今後の大規模な酸素生成への第一歩を印したわけで、人が滞在するための一つの課題がクリアされることになります。
酸素を
生成する仕組みについては詳しくは分かりませんがトースターほどの大きさであるMOXIE(Mars Oxygen In-Situ Resource Utilization Experiment)と称する機器を使うそうです。
このMOXIEは火星大気からCO2を回収し、電気化学的に二酸化炭素分子を酸素と一酸化炭素に分解できるそうです。
一方
NASAは同じ火星で史上初のヘリコプター飛行にも成功させています。
初めの飛行では『火星の地表面から3メートル上昇し、96度回転した後、しばらく滞空してから着陸した。離陸から着陸まで40秒近くだった。』とのことです。
また
2度目の飛行にも成功し、前回より高い5メートルまで浮上したそうです。
火星でのヘリコプター飛行の難しさについては『大気は地球のわずか1%ほどの薄さしかないため、ブレード(回転翼?)はほとんど上昇する力を得ることができない。重力の低さが助けてくれるが、それでも地面から浮き上がるのには大変な労力を要する。そのため、インジェニュイティー(小型ヘリの名前)は非常に軽量に設計され、ブレードの回転を非常に速くしてある。最大出力は350ワット。今回の初飛行では、毎分2500回転以上を記録した。』と報道されています。
火星での
酸素の生成といい、ヘリコプターの飛行といい、NASA(=米国)は壮大な戦略のもとに少しづつ歩を進めているようです。
やがては大量の酸素を生成し、火星の至る所をヘリコプターで移動できる日が来るに違いありませんが、それはつまりは人類が火星において大幅な活動の機会を手にすることができるということでもあります。
火星の
地下には大量の水があるとも言われていますので、いよいよ本格的な火星への開発アプローチが始まったと言っても良いようです。
このところ地球温暖化によるものと思われる様々な異常現象が多発していますし、また小惑星の衝突の危機の可能性についても伝えられていますので、火星が持つ可能性に対する価値は大きく高まっているものと思われます。
米国という
国のダイナミズムに触れるたびに心底感心させられます。
このコロナ禍においても一方では戦略的で積極的な活動が推進されており、ついつい我が国のことを思わざるを得ませんが、我が国は果たして何か国家的な戦略を掲げて積極的に推進していることがあるのでしょうか。
新形コロナ対応を見ても、
感染者(特に無症状感染者)の隔離には消極的であり、病院の連携についてもバラバラ感が強く、また更なる感染予防に当たっても「飛沫感染を防ぐ」という直接対応ではなく「人流を減らす」という間接対応を実施しようとしており、ある意味的外れはずっと継続されているような気がします。
ワクチンについても承認の先送りが続いており、その結果日本への供給時期を早めるべく強力に交渉をするための根拠が薄弱となり、摂取までの時間ががどんどん後にずらされてきています。
高齢者施設では
空気感染ではないにも関わらず、感染を恐れるあまり不要不急には当たらない(基本的人権とも言える)食料品の買い出しさえもが禁じられたりしています。
これらは全て「日本には戦略的な国家展望が欠けている」という証拠のような気もしますが、いかがでしょうか。
参考情報: