地球に衝突しそうな直径500メートルの小惑星をはじいて安全な軌道へ移動させるには、重たい宇宙船を10年間に約50回ぶつける必要があるとの研究結果を、米航空宇宙局(NASA)などのチームが26日までにまとめたそうです。 |
『小惑星はじき飛ばせる? 衝突阻止に核爆弾も NASAが試算 』
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地球に衝突しそうな直径500メートルの小惑星をはじいて安全な軌道へ移動させるには、重たい宇宙船を10年間に約50回ぶつける必要があるとの研究結果を、米航空宇宙局(NASA)などのチームが26日までにまとめた。
もっと大きな小惑星が飛来したり、地球への衝突直前に見つかったりすると、重い物をぶつけるだけでは対処できない可能性もあり、チームは「核爆弾を検討する必要がある」としている。
小惑星衝突というSF映画のような事態に備え、NASAは2016年に惑星防衛調整室を設置して対策の検討を始めているが、具体的な方法を示すのは初めて。小惑星を押して軌道を変えるには時間がかかるため、衝突までの期間が短いほど宇宙船を数多く飛ばす必要が生じる。早めの対応が重要だという。
2135年に地球に衝突する可能性がわずかながら懸念されている小惑星「ベンヌ」にNASAが開発する全長9メートル、重さ8.8トンの宇宙船「ハンマー」をぶつけて、衝撃で地球すれすれを通過する軌道に変更することを想定。
直径500メートル、重さ8千万トンのこの天体が地球に衝突するコースをたどった場合、回避するために宇宙船を10年間に約50回前後ぶつける必要があることが判明した。25年かけて軌道を変える場合は10回程度に減る。
【日本経済新聞 配信】
宇宙については
分からないことだらけで、時々報道される発表には驚かされることも多いのですが、今回の報道もやはり相当なインパクトがありました。
何よりもあのNASAが本気で対応しているということが衝撃的でしたが、冷静に考えてみれば小惑星の飛来についてはごく自然なことでもあり、当然そのことへの対応も為されて然るべきことだと思います。
もっといえば
NASAだけではなく地球全体で対応すべきことで、正に国際連合での課題だと思いますが、現状はどうでしょうか。
過去のデータからも分かるように「小惑星の地球衝突の可能性はある」というのが宇宙科学者の常識であり、問題はその時どのような対応策があるかということになります。
過去のデータとして
次のような報告がみられます。
『6500万年前にユカタン半島を直撃した直径約16キロの隕石は、恐竜を絶滅させ、全長約150キロのクレーターを残した。』
『2013年にロシアのチェリャビンスク付近の上空で爆発した隕石は、直径20メートルほどと比較的小型だったが、相当の被害を引き起こした。放出したエネルギーは広島の原爆の約30倍に相当し、窓ガラスが吹き飛ぶなどして1500人が手当てを受けた。』
NASAでは、
『これまでに発見された地球接近天体(NEO)は約1万8000個に上り、うち約1000個は直径1キロを超す極めて危険な天体に分類される。NEO研究プログラムは、さまざまな形で1970年代から存在してきた。』という発表も行われています。
実際に「ベンヌ」と名付けられた小惑星が、2135年に地球に衝突する可能性がわずかながら懸念されているとのことで、もしそれが衝突することになったら甚大な被害と死傷者が生まれるともいわれています。
直径500mほどのベンヌは
地球を6年周期で公転しており、2135年には地球と月の間を通過すると予測されており、その際に地球の重力の影響を受け、将来的に命中する可能性があるといわれています。
地球と月の間を通過するニアミスの際に、ベンヌの軌道がどの程度の影響を受けるものか予測することは難しく、それでも、地球との衝突コースに乗るのではないかという見積りもあり、それによれば2175~2196年の間にベンヌと地球が衝突する確率は2,700回に1度とのデータもみられます。
ベンヌは
平均時速100,000kmで移動しており、これが地球に衝突した場合の衝撃は爆薬30億トン(米国が現在配備している核弾道ミサイル群に匹敵)に相当するそうです。
軌道を変えさせるには「重い宇宙船をぶつける」、「核爆弾を使う」、「レーザー光線で表面温度を変えることで太陽の影響を利用する」など、さまざまな方法が検討されているようですが、10年単位での対応が必要とのことで、問題の深刻さを垣間見た思いがします。
2135年いえば
今から117年後ということですが、それまでに何とか解決の道筋が立てられ、更には小惑星衝突の脅威に対する地球規模での防御態勢が確立されることをひたすら祈るのみです。
全体としての科学技術の進歩や国を越えての結束など、人類の英知に期待するところは今後ますます大きくなるものと思われます。