保護主義の良くない点が指摘されています。
『トランプ大統領の保護主義的な政策、保護主義の何がいけないの?』
就任したばかりのトランプ大統領が相次いで保護主義的な政策を実行に移しています。保護主義の高まりは経済にとってマイナスの影響が大きいといわれますが、具体的にはどのような影響が出てくるのでしょうか。
[略]
例えば、国によって関税が異なっている場合、経済学的には貿易転換効果と呼ばれる現象が発生します。ある国からの輸入品に高い関税がかかっていると、本来はその国から安く調達した方が得であるにもかかわらず、自国内での調達に切り替わってしまいます。消費者の購買力が同じだった場合、高いモノやサービスが増えてしまうと、他の消費に回る余力がなくなるため経済成長にとってはマイナス要因となるわけです。
もちろん国内生産に切り替わった分、その労働者の所得は増えますが、経済全体で見た場合、その労働者はもっと付加価値の高い別の労働に従事した方が生産性は上昇しますから、最終的にはメリットをもたらさないという理屈です。
【THE PAGE 配信】
現在の世界的基調は
自由主義であり、それによって企業のグローバル化が加速しています。これに相反するものとして、自国の産業を活性化させるための保護主義が唱えられ、その是非が問われています。
記事の中では、関税によって物が高くなると、消費が減るので、経済成長にとってマイナスになる、という指摘がありますが、所得が増え、就労期間に不安がなくなれば、物が高くなっても、ローンの活用などにより、消費はどんどん回復していくと思います。むしろ物が安くても、それほど買える状況になっていないことが、今、正に、問題となっているのだと思います。
また労働者が付加価値の高い別の労働に従事できなくなる、という指摘もありますが、国内生産に切り替わることが、付加価値の高い労働を減らす、という必然性があるとは思えません。
要するに、
多くの日本国民が、自由に国外に出て、働ける環境になっていれば、グローバル化による影響も少ないと思われますが、現実はそうなってはいません。
つまりグローバル企業は、人件費の安い国で製品を作り、購買力の高い国で販売していますが、日本国民の多くが、人件費の高い国で働き、安価な製品の買える国で購買する、ということにはなっていません。
従って、多くの国民にとっては、国内での就労が一般的な選択であり、そこでの雇用が増えない限り、購買力が増えることはなく、企業のグローバル化によって、経済成長が行われたとしても、その恩恵を受けることはできません。
保護主義によって、
外国製品を排除することは、可能性を狭めるので良くないことだと思いますが、国内生産を促進するために、関税による調整を図ることについては、全く問題はないと考えますし、それを保護主義と表現すること自体、適切ではないと思います。
自由主義により、グローバル化が促進され、それに影響されて、労働者派遣法が拡大されたことが、日本のデフレの要因であり、それらの改正なくして、日本国内での経済成長は望めないと思います。
昭和30年代に、
池田勇人内閣が誕生し、「国民所得倍増計画」 が政策として決定され、日本は大きく経済成長を遂げました。
この時代は、戦後の混乱期から抜け出したばかりで、その後の日本経済をどうするか、ということが真剣に模索されていた時期でもありました。
この計画の素晴らしさは、
月給を2倍にする、という視点にあります。実際には、
- 社会資本の整備
- 重化学工業化へ向けての誘導、生産性の高い部門へ労働力の移動
- 生産性向上により輸出競争を勝ち抜く
- 人的能力の向上と科学技術の振興
- 産業構造の転換にともなう摩擦的失業、資金格差などの問題への対処
- 社会福祉と福祉政策の推進
のような具体的な処方が掲げられていました。これらの政策によって、日本の企業を活性化して雇用を増やし、月給を2倍にしようとしたものです。
つまりここにあるのは、
国民の所得を2倍にするために、企業を強くし、国がバックアップする、という国としての一体感です。これと今のグローバル化と比較すると、企業の立ち位置が異なることが分かります。
当時は企業と国民(消費者)が一体となって邁進しているのに対し、今は企業が安い国外の労働力及び、国外の裕福な購買者と一体となって邁進していることです。
企業のグローバル化は、
自由主義の、いき過ぎた側面を象徴しているという見方もあります。
つまり各国のデフレも、貧富の格差も、この企業のグローバル化に原因があるのではないか、ということですが、今後、この企業のグローバル化について、もう少し詳しく調べてみたいと思います。