韓国で7月1日から労働時間の上限を残業時間を含め週52時間に短縮することを柱とした改正勤労基準法が施行されるそうです。 |
『韓国も「働き方改革」 週52時間以内、雇用創出狙うも負担は中小企業に?』
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韓国で7月1日から労働時間の上限を残業時間を含め週52時間に短縮することを柱とした改正勤労基準法が施行される。韓国版「働き方改革」といえ、日本と同じく働き過ぎの改善とともに、文在寅(ムン・ジェイン)政権は1人当たりの労働時間短縮で新たな雇用創出を狙うが、さまざまな問題点も指摘されている。
改正法で、週40時間の法定労働時間に残業時間を加え、週68時間まで認められてきた上限が大幅に短縮され、週12時間を超える残業が禁じられる。違反した事業主は2年以下の懲役か2千万ウォン(約200万円)以下の罰金が科される。施行から半年間は試行期間とし、罰則が猶予される。
1日には、従業員300人以上の企業などに適用され、2021年までに中小企業にも順次拡大される。
一方で、新制度で労働者の平均月収が1割以上減るとの試算もあり、消費減退による景気への影響が危惧されている。日本で6月29日に成立した働き方改革関連法では、残業の上限を原則月45時間とするが、繁忙期には100時間未満まで認めるのと比べ、柔軟性に欠けるとの指摘もある。
【産経ニュース 配信】
過労死に
端を発した「働き方改革」ですが、日本でも韓国でもその対応に苦慮しているようです。
残業の上限が、韓国では週12時間までで、日本では月45時間(繁忙期は100時間)までということで、週休2日制で考えると韓国では1日2時間24分までとなり、日本では21日/月として1日(2時間9分~4時間46分)となります。
企業の立場で考えると、
残業というのは、いわゆる繁忙期対策の一つであり、常時仕事が多い状態が続く場合は人員の増加で対応するというのが通常の考え方だと思います。
結局、仕事量には波があり、なかなか計画的という訳にはいかないものですが、それに対して人員の増減には多くの時間がかかり、また固定的な経費もかかるということで、その仕事量と人員定数の間を埋める調整措置として残業が行われると考えるのが自然で、その意味では韓国の週単位に固定した12時間までという規制は現実的ではないものと思われます。
いわゆるトップダウン的な
規制と言えるもので、このような規制は実務に疎い人達によって決められることが多いのですが、実情とは大きく乖離した規制であるため、最終的には多くの混乱をもたらすのみで、早晩修正を余儀なくされるものと思われます。
その意味では月単位で考える日本の規制の方が現実的だと思いますが、私はこのように時間で規制するのではなく、むしろ残業代を上げたり、あるいはその支払いを厳密化する(代休などに置き換えられる余地を減らすなど)方が、より効果的だと思います。
定常的に
仕事量が多いにも関わらず人員を増員しない企業が最も悪質だと思いますが、一たび人員を増員するとなかなか減員させられないという事情もありますので、将来、仕事量が減少に転じた場合を考えると増員をためらう気持ちも理解できます。
残業代を上げるよう規制したり、その支払を厳密に行うよう規制すれば、企業にとっては人件費の増大となり、逆に従業員にとっては大幅な収入増となるため、一定期間続ける余地を残しながらも、定常的に仕事量が多い場合は増員に切り替えるという決断を促すことにもなり、それだけ自然な形で過労死を防げるものと思われます。
時間を制限する規制の場合は、
どちらかというと単に派遣社員の増員という対応で終わることも考えられますが、残業代を上げる規制であれば、正社員も派遣社員も共に収入増加になりますので、それだけ企業にとっては増員という問題に真剣に対応せざるを得なくなるものと思われます。
昔は残業時間が月200時間(休日出勤を含めて)という時が何度もありましたが、死に至るという危機感はありませんでした。
ただこんにちのような、きめ細かな報告の義務や厳密な計画に則った作業の遂行というようなことは無かったので、ある意味、大雑把な管理体制というものが働く人の心の安らぎになっていたのかも知れませんね。