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米国の中国との貿易は「二カ国が比較優位に基づいて自由に取引し、その結果得られた利益を共有することで両国の生活が向上する」というビジネスモデルから地球と火星ほどかけ離れているとナバロ氏は指摘しています。

『【寄稿】中国の比較優位は偽物=ナバロ氏』

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――執筆者のピーター・ナバロ氏は米大統領の通商・製造政策顧問で国家通商会議(NTC)委員長

経済学の教科書では、貿易は双方にとって利益になるものとされている。二カ国が比較優位に基づいて自由に取引し、その結果得られた利益を共有することで両国の生活が向上する。米国の中国との貿易はそうしたビジネスモデルから地球と火星ほどかけ離れている。

米国は歴史的に製造業で比較優位にあった。技術革新が多く、それに応じて設備投資も多くて労働生産性も高い上、知的財産権への保護は手厚く、低コストエネルギーも広く利用可能だからだ。しかし、2001年の世界貿易機関(WTO)への加盟以来、中国が従来の製造業を支配するようになった。2015年までには世界の自動車の28%、船舶の41%、冷蔵庫の50%強、テレビの60%強、コンピューターと空調機の80%強をそれぞれ生産するようになった。

【THE WALL STREET JOURNAL. 配信】

ナバロ氏は

「なぜ教科書通りに行かないのか」という問いに対し、次のように応えています。

『それは中国の比較優位が、国家主導の投資や非市場経済、法の支配の無視の上に成り立つ偽物にすぎないからだ。』と。

つまり中国という国家が自国を優位にするために、市場経済や法を捻じ曲げているからだと指摘しています。

具体的には

『国内市場へのアクセスを交換条件にした外国企業への技術移転の強要』や、『自国市場を保護するための高い関税障壁の設定』、『外国企業への厄介な事業免許要件や出資比率規制』、『政府系ファンド(SWF)を活用して未来の産業を押さえる「海外進出」』、『合弁契約を利用した建設・技術資料の移転』など、多くの事例を挙げて指摘しています。

本来、貿易とは市場経済に則った民間同士の自由な営みであるべきものを、中国という国家が自国を優位にするために国家的な関与を強化しているということで、結果として捻じ曲げられた貿易となっているとのことです。

中国という国家は

一党独裁の非民主主義国であり、元々自由貿易の対象国として相応しい国ではないということが明白になったとも言えます。

多くの民主主義国では民間の企業が独自の努力で長い間かけて技術力を伸ばしてきたものであり、これを国家の介入で無理やり手に入れる行為は極めて不当な行為と言えます。

このようにして手に入れた技術力は軍事力としても使われます。

このことを思えば、

非民主主義国家との貿易そのものを考え直す必要があるのかも知れません。

単に貿易で黒字が出たと喜んでいる場合ではなく、その貿易で着々と独裁国家が強化されているという現実を直視し、何らかの対応を考えることも、又大事なことではないでしょうか。

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