『実は、マスクがコロナ感染を予防する効果は低く、かつ効果があるという医学的なコンセンサスはない。』という報道がありました。 |
実は、マスクがコロナ感染を予防する効果は低く、かつ効果があるという医学的なコンセンサスはない。今年2月、韓国のサムスンメディカルセンターの医師たちがコロナに対するマスクの効果を検証したメタ解析を「医療ウイルス学」誌で発表した。本稿でご紹介しよう。
メタ解析とは、複数の臨床試験をまとめて解析することだ。
臨床試験は、特定の集団に介入するため、環境や対象を変えれば、結果が再現されるとは限らない。異なる環境で実施された複数の臨床研究をまとめて解析してはじめて、その結果が一般化できる。臨床医学の世界では、メタ解析の結果は「最高レベルのエビデンス」と評価される。
では、韓国の研究はどんな結果だったろうか。彼らは新型コロナに加え、同じコロナ属の重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)ウイルスに対するマスクの予防効果を併せて検証した。その際、医療従事者が着用するN95という特殊なマスクと、一般人が着用するサージカルマスクについて、別個に解析した。
まずは医療従事者がN95マスクを着用した場合の効果だ。報告されている14の臨床研究をまとめると、感染リスクを71%も減らしていた。極めて有効だ。ただ、N95マスクは着用すれば息が苦しくなり、一般人が日常的に着用するのは難しい。
サージカルマスクはどうか。医療従事者を対象とした12の臨床試験をまとめると31%、一般人を対象とした2つの臨床試験をまとめると22%感染のリスクを減らしていた。しかしながら、両方とも、その差は統計的に有意ではなかった。これは、研究で示された有効性は単なる偶然でも説明が可能で、医学的には効果は証明されていないことを意味する。
【日刊ゲンダイDIGITAL 配信】
理化学研究所の
スーパーコンピュータ「富岳」を用いた研究では以下のような指摘がありました。
『口から出る飛沫を、マスクによってどの程度抑えられるのか分析しました。飛沫の体積で見た場合は不織布・布ともに8割の飛沫を捕集できることがわかりました。』
さらに
『また、飛沫は数百ミクロンから1ミクロン以下までサイズの幅が広いのですが、100ミクロンを超えるような大きな飛沫については、不織布・布ともにほぼ100%抑えられることがわかっています。』
『一方、エアロゾル粒子に関しては、全体の40〜50%程度が漏れます。さらに、自分を守るという観点では、マスク着用によって、空気中の飛沫を約7割ブロックできます。』
今回の記事では
『サージカルマスクはどうか。医療従事者を対象とした12の臨床試験をまとめると31%、一般人を対象とした2つの臨床試験をまとめると22%感染のリスクを減らしていた。』とのことです。
他にも『無症状者からの感染が全感染のうち59%を占める可能性』、『COVID-19、陽性者の3分の1以上が無症状』といった情報などが公開されています。
仮に
今回の記事に重点をおいて考えると「一般人では2割程度のリスク軽減でしかない」ということなので、理化学研究所によるデータからの分析も現実的な正当性があるとすれば「100ミクロンを下回る飛沫が圧倒的に多く、また漏れたエアロゾル粒子(40〜50%程度)も含めて全体で8割程度がマスクによってブロックできなかった」ということになります。
更には『陽性者の3分の1以上が無症状』であり、『5割以上が無症状感染者から感染』しているとすれば、「陽性者の3分の2に相当する症状のある感染者からの感染も5割」ということになります。
現在
マスコミを通じて発表されている感染者数が症状のある人の数字だとしたら、その半数にあたる無症状感染者が他に存在し、なおかつその無症状感染者も症状のある感染者と同じ数以上(59%)の感染者を生み出していることになり、更にはその全感染者の3分の1以上が無症状感染者ということになります。
そのように考えると無症状の感染者の数も相当数になりますので、つまりは極端な言い方をすれば「現在感染していないと考えている人も実は無症状感染者になっていてそのまま無症状のまま回復していた」ということがあり得るのかも知れません。
そうであれば、
「マスクにより感染しないで済んだ」と思っていた人も実は感染していたということになりますので「マスク効果が2割」という指摘にもうなずけます。
これは私の推測ですが日本について言えば「マスクをしてもあまり話をしない」、「マスクを外しても黙食する」という行動が大きなウエイトを占めていたことで極端に感染者を増やす結果には至らなかったような気がします。
逆に「マスクをして盛んに話をする」、「食事中でもマスクをした時に話す」という行動が大きなウエイトを占めていればマスクの効果がある程度分かったのかも知れませんが、結局のところマスク効果については詳細不明というしかないような気もします。
これは
以前から指摘させていただいていることですが、日本の為政者は「データを収集してそれに基づいて判断を下す」ということができていないように思えます。
この2年以上にも及ぶ新型コロナウイルス感染について、一体どのような状況下で感染したのかというデータがほとんど公開されていません。
感染者への
聞き取りで「どのような状態で感染したと思われるか」ということは当然行われていると思いますので、それを積み上げて分析すればマスクの効果がある程度見えてくるはずですが、そのような具体的なデータはほとんど公開されていません。
無症状感染者がどのくらいの割合で存在するのかというようなデータや、今感染するとどういった症状が見られるのか、重症化する割合がどのくらいで、その症状に併せて治療できるものはどの程度あり、飲み薬の審査がどの程度進み、後遺症の持続期間はどの程度なのか、等々いろいろなデータがあり、それぞれが国民の行動に大きな影響を与えるものだと思いますが、(的確に公表されていないどころか)ほとんど公表されていないと思います。
結局
具体的なデータが公表されていないため何となく想像を巡らせることになります。
たとえば従来の考え方に今回のマスクの効用が2割程度というデータを加味すると、「本来はマスクをしている感染者からの飛沫は8割は漏れ出ており、周りの人々はマスクをしていてもその8割はそれらに感染するはずだが、距離をあけたり、話をしなかったり、換気を良くしたりという行為によって感染が抑制されているのかも知れない」という想像になるのではないでしょうか。
さらに「感染すると下手したら重症化するかも知れないし、後遺症もかなりの期間続くかもしれない」ということで、これはひたすら感染を恐れるだけの姿になっています。
そのような中で
「熱中症対策のためにマスクを外しましょう」という声があちらこちらで聞こえてきていますが、これはどのようなデータに基づいた発言なのでしょうか。
日本では長い間デフレが続き、少子化も続き、再生エネルギーへの切り替えもぼちぼちですが、それらへの対応はどのようなデータに基づいて為されているのでしょうか。
仮にデータに基づいて対応策が講じられているとして、では、国民にはそれらの中の何が知らされたのでしょうか。
遡って
現在の自民党政権は何に基づいて政治を行っているのでしょうか。
またマスコミは国民を代表して為政者の何を伝えているのでしょうか。
このような混沌とした(?)政治環境の中で7月には参議院議員選挙が行われますが、国民は一体どのデータに基づいて投票をすれば良いのでしょうか。
参考情報:
- 「富岳」を用いたウイルス飛沫対策の研究
- 新型コロナ、5割以上が無症状感染者から感染/CDC推定
- COVID-19、陽性者の3分の1以上が無症状
- マスクの着用について
- 錠剤タイプの新型コロナワクチンに有望性[※この記事は削除されました]