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安倍政権は、「働き方改革」関連法案の柱の一つとして、現在、一部の専門職のみに適用されている裁量労働制を、営業職などにも拡大しようとしているようです。

『残業100時間超、残業代ゼロ、過労死認定も困難に-裁量労働制 先行事例から知る本当の怖さ』

⇒ヤフーニュースの記事へ 
 
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安倍晋三首相が「一般の労働者よりも労働時間が短くなる」と国会で答弁したものの、その根拠となるデータが重大な誤りがあることが発覚、安倍首相が謝罪するという顛末で、にわかに注目されるようになった裁量労働制。安倍政権は、「働き方改革」関連法案の柱の一つとして、現在、一部の専門職のみに適用されている裁量労働制を、営業職などにも拡大しようとしているが、果たして本当に長時間労働の是正につながるのか?既に裁量労働制を導入しているITやデザイン、ゲーム開発など業界の現場では、どんなに長時間働いても、残業代が支払われず、一定の時間以外は労働したという事実すら無かったことにされるという、最悪のブラック労働環境となっているという。

〇「定額働かせ放題」の実例

裁量労働制とは、実際の労働時間がどれだけなのかに関係なく、労働者と使用者の間の協定で定めた時間=「みなし時間」だけ働いたとみなし、労働賃金を支払うという制度だ。仕事の段取りや時間配分を自分の判断で決められる働き手が対象となり、SEや、デザイナー、メディア関係者などの19業務が対象となる「専門業務型」と、企業活動の企画や立案、調査業務などを行う「企画業務型」の2種類に大別される。

裁量労働制は、一見、働く人が時間に縛られず、自分のペースで仕事ができるように見えるが、実際の案件では、労働者に選択の余地はなく、ひたすら働かせ続けるということが起きている。中でも最近、人々の注目を集めたのは、ゲーム制作等を手がけるIT企業サイバードでの労働争議だ。裁量労働制での労働問題の相談に応じている「裁量労働制ユニオン」の坂倉昇平氏が解説する。

「私達が相談を受けたAさんは、2016年にサイバードに入社、専門業務型裁量労働制を適用され、1日10時間8分をみなし労働とし、ゲーム用ソフトウェアの創作を業務とすることになりました。ところが、『ゲームの体験イベントの開催』、『ゲーム宣伝用のサイトおよびSNS運用』など、裁量労働制が禁じられている仕事もさせられたりするなどして、時間外労働が100時間を超える月もあるなど、長時間労働を強いられました。しかし、どんなに働いても毎月の給料は変わらず、正に『定額働かせ放題』という状況に陥りました」

【ヤフーニュース 配信】

日本では過去に、

配慮の足りない政治家達によって労働者派遣法が改悪され、今でも多くの人々が非正規雇用という不安定な雇用環境で四苦八苦させられています。

この法律の改悪により、人々は安心して働ける労働環境を失い、何よりも、日本における消費力の安定確保が困難になりました。

つまり

多くの人々が、いつ辞めさせられるか分からない環境で働かされ、その結果として一人一人の収入が減り、さらにその収入の多くも、最低限必要なものを除いては、職がなくなった時のために貯蓄される傾向が強まりました。

多くの人々の収入低下により、全体としての消費力は減り、つまりは生産物やサービスを発展させるような消費は行われず、結果としてデフレ状態が延々と続いています。

幸いにも

大手企業は海外での消費力に頼ることで、その生産性を維持・向上させることはできていますが、中小企業における生産性は低下の一途を辿っています。

しかし米国におけるトランプ政権の誕生という状況が示すように、外国の消費力を頼ることも次第に不可能になってきており、結局は日本における「その生産力に見合った分の消費力確保」は、日本の義務になりつつあるといっても過言ではありません。

そして

それができなくなる時は、生産性が低下を始める時で、その結果、多くの物やサービスが簡単に生産・供給できなくなり、人々の生活の質も次第に低下していくことになります。

そのような状況下にある時に、今度は報道にもあるように、裁量労働制という制度が実施されようとしています。

ざっくりと言えば、

企業は「いつでも辞めさせられる自由」の他に、「限られた人を好きなだけ働かせる自由」を手に入れることになります。

この結果、ますます生産物は増えますが、消費力は据え置かれ、消費力は全体として、従来より相対的に低下します。

つまりこの裁量労働制により短時間で、それまでと同じ収入を手に入れる人が大半を占めるようにならない限り、消費力の不均衡の問題は是正されないどころか、より悪化することになります。

しかし

企業と個人が契約するとなると、その可能性は極めて低いといわざるを得ません。

つまり「嫌なら他の企業に行く」ことが可能な人のみが、企業に対する優位性を持てる訳で、多くの人はそこまでには至らず、結果として企業の言いなりに甘んじることになるからです。

この問題は

労働者派遣法の場合もそうすべきでしたが、あくまでも個人から希望する場合のみに限られるべきで、企業からの交渉はできないようにすべきだと思います。

能力に自信のある人の場合は企業に対する優位性を持てますので、その個人が希望することには問題はないと思われます。

労働者派遣法の改悪

のように、法制の暴走はとてつもない不幸をもたらします。

このたびの裁量労働制も多くの日本国民を不幸にする可能性を秘めており、極めて厳格な制限付きの法制にするか、あるいは廃案にすべきものと考えます。

それこそ特区での実験を踏まえて判断することも、一つの方法かも知れません。

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