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藤井聡さん(京都大学大学院工学部研究科教授)の消費税増税についての記事をご紹介します。


 

1.税金は行動を「抑制」するためにかけるもの

「混雑税」という税金をご存じだろうか?これは混雑している道路に「税金」をかけ、値段を上げることで、利用者を減らし、その混雑をなくそうとする「交通政策」上の税金だ。同じく「環境税」というものは、環境対策の一環として行われるもの。クルマ利用など「環境に悪い行動」に対して税金をかけて、その行動を抑制しようとするものだ。

つまり混雑税や環境税というものは、「減らしたい」という政策ターゲットを絞り、それを狙い撃ちするように税金をかけ、その行動を減らそうとするものなのだ。

2.消費は、経済成長のメインエンジン

ところで、「経済成長」というのは、具体的に何を意味するのかというと、「皆が使うカネの量が増えていく」ということだ。皆が使うカネの量が増えれば、必然的に皆が儲かる。皆が儲かれば、さらにカネを使うようになって皆がさらに儲かる―――という好循環が経済成長、というものだ。

そして、日本国内で使われているカネ(一般に、GDPと言われる)の大半が何なのかと言えば―――それが「消費」だ。日本国内のすべての使われているカネの内、実に6割が消費だ。

3.10%消費税で、日本経済は破壊される

逆に言うなら、消費が冷え込めば、必然的に経済は冷え込む。ここに、消費税が経済に巨大なダメージをもたらす根本理由がある。

実際、バブル崩壊後の97年の増税は日本に大不況をもたらし、前回の2014年増税でも激しく消費が冷え込み、5年以上が経過した今日でも、かつてのピークの水準には至っていない。

【日刊ゲンダイDIGITAL 配信】

京都大学大学院

工学部研究科教授の藤井聡さんの記事ですが、大変明解に増税の非について語っていると思います。

私も以前から表明していますが、要するに、高所得者ではない人々は使える金額は消費税込みで決まっているため、月20万円しか使えない人は消費税8%なら18万6千円の商品しか購入できず、消費税10%なら18万円の商品しか購入できません。

つまり

消費税が2%上ることで税収は2%増えますが、企業は売上が18万6千円から18万円に、増税前の96.8%に低下します。

売上が低下するとコスト削減のため他の費用を抑制することになりますが、人件費の抑制も含まれます。

人員が削減されますと(その人達が再就職できない場合、あるいは以前より低賃金での再就職になった場合)、従来納付していた所得税が減り、さらに健康保険料や年金の納付額も減少します。

結果的に

消費税分は増えても所得税や他の税収が減り、(税収・保険料・年金)全体でみると減少する可能性が高いものと思われます。

まさに藤井教授が指摘するように、消費行動が抑制されることになり、それに伴う納付金額も抑制されることになる訳です。

昭和の

高度経済成長時代には、欲しいものがあれば皆、多少無理してでも買ったと思いますが、それは残業すれば収入が増えるし、年々給料が上るという安心感があったからこそできたことだと思います。

今は高度経済成長時代ではないという人が大半でしょうが、私はそうは思いません。

高度経済成長時代について「昔はモノがない時代で、作れば売れるという時代だった」と言う人が多いものと思われますが、今だって皆さん欲しいモノは一杯あります。

ただ「今のままでも(買わなくても)充分やっていける」という点が異なるのみで、ある意味ではそこの食い違いが経済を低迷させているものと思われます。

現代の企業の生産性は

大幅に向上しており、つまりはその向上分を吸収する仕組みがないために不況になっていると言えるのではないでしょうか。

企業は利益を求めて活動しており、費用は常に生産物より低く抑えられますので、企業が生み出す消費力は常に生産力より低くなりますが、生産物を全て売らなければ利益が得られず、従って他の消費力(海外貿易)をあてにして活動している状態と言えます。

但し各国の生産力が向上すれば消費力の奪い合いになるので、貿易による消費力は当然あてにできなくなります。

仮に

これを企業が解決するとなると、生産性向上によって生み出された生産物の価格を下げて全て売り、翌年は人件費等の費用も下げることで利益を出すことになりますが、とても企業が個々に行えることではありません。

つまり1個100円の商品を100億円の費用をかけて200億円分生産したとしても、100億円しか消費力を生み出していないので100億円分しか売れず、200億円分売るには1個50円にすることになります。

これだと利益はゼロですが、全ての商品が半額になれば人件費も半分に下げることが可能で、その時点で利益が生まれることになりますが、このためには商品(サービス)が全て半額にならなければならず、現実的には不可能ということになります。

従って

企業に任せるのではなく国が、生産性向上により100億円の経費で200億円分の商品が生産できるようになったら、100億円分の紙幣を増刷(借金ではなく単に増刷)して流通させれば良いと思います。

そうすれば200億円分の商品は全て売れて企業はその200億円を経費にして400億円分の商品を生産することができます。

紙幣の価値は生産力の裏返しなので増刷してもその価値が低下することはないので、後はどれだけ生産性が向上したかの判断だと思います。

この判断に

大きな間違いがあれば紙幣価値が不安定になるかも知れませんが、情報科学が進んでいるので、統計などの知恵を駆使すればうまく制御できるものと思われます。

「今のままでもいいが、やはり良いモノは欲しい」、そういう人がほとんどだと思いますので、収入を増やすことが第一で、そのためには企業の生産性向上に見合った紙幣の増刷と流通の実施が必要だと思います。

上記の例で企業が200億円の経費をかけられるようになれば、100億円から200億円へと消費力が向上することになり、それだけ良いモノを買えるということになると思いますが、いかがでしょうか。

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