企業の景気判断が改善する一方、客観判断とは別に、戦後2番目とみられる長さで続く景気拡大を「実感」できるか尋ねると、44社が「あまり実感と合わない」と答えたそうです。 |
『景気拡大9割も…「実感と合わぬ」4割 100社調査』
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主要100社を対象に朝日新聞が11月に実施した景気アンケートで、国内の景気の現状を「拡大」「緩やかに拡大」とみる企業が計9割に達した。企業の景気判断が改善する一方、客観判断とは別に、戦後2番目とみられる長さで続く景気拡大を「実感」できるか尋ねると、44社が「あまり実感と合わない」と答えた。
2012年12月に始まった景気拡大は、高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目の長さとなる見込みだが、「実感と合わない」との意見も聞かれる。企業側の受け止めを聞いたところ、「大いに実感と合っている」が1社、「ある程度、実感と合っている」は51社。過半数の企業は、実感が伴っているとみている。
ただ、「あまり実感と合わない」もそれに劣らず多い。その理由としては、「賃金が十分に伸びていない」(26社)、「社会が成熟し、需要が拡大しにくくなっている」(18社)の二つが多かった。
「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は「株価が上がってバブルなだけ。海外市場を相手にしたところばかりよく、日本の景気自体はよくなっていない」と指摘する。
【朝日新聞デジタル 配信】
景気動向については
さまざまな指摘があります。
2012年からの生産と在庫の動きを見た場合、2014年4月の消費税率引き上げのころから低下傾向を続けてきた生産が、2016年春ごろから増加に転じており、同時に、増加傾向を続けてきた在庫は2016年になって減少傾向にあります。
在庫調整の進展に伴って生産が増加に転じるという、通常の景気回復が始まったと考えられ、景気の方向という視点から判断すると「景気は良くなっている」ことになるようです。
一方、
同じ生産の推移を 2008年からみると、リーマンショックで大きく落ち込んだ生産がある程度持ち直したものの、その後は小幅な変動を繰り返しながら、ほぼ同水準での推移を続けていることが分かります。
ここ1年ほど生産が増加しているとはいえ、リーマンショック後のレンジを抜けてはいないので、景気の水準という視点からは「景気は良くない」ということになるようです。
つまり
景気の方向は「良くなっている」が、景気の水準は「良くない」ということで、低水準ながらも良くなりつつある、というのが実情かも知れません。
景気の先行きについては良くなりつつあるようですが、「生産拠点の現地化はこれからも続く」、「設備の老朽化によって競争力のある生産設備が減っ ている」、あるいは「人手不足が工場の稼働率を抑えている」といった供給面の制約が続くとすると、リーマン ショック後の生産の天井を抜けるのは難しいという見方もあるようです。
景気の良さを
実感できるということは、日本の企業の業績が良くなり、それにつれて日本国民の所得が増えるということなので、グローバル企業に対する増税を強化するなど、国民の所得を増やす(国内生産)企業の業績拡大のための政策が必要になるものと思われます。
国民の収入が上がり、それによってより便利な商品やサービスを消費するというサイクルが一番重要であり、そのサイクルがあればこそ、生産性の向上が図られ、より豊かな生活が可能になるのだと思います。
「そのための経済政策はどうあるべきか」、
それがずっと以前からの課題であるにも関わらず、その答を見つけていないのか、はたまた、見つけてはいるが是正する勇気がないのか、今になってもなお対応できていないのが実情のようです。
やはり有能な人物(偉大な政治家)の登場を待つしか、方法はないのでしょうか。