「共謀罪」法案をめぐる審議は、参院で法務委員会の採決を省略した本会議採決が強行されました。 |
『異例の徹夜国会=野党「民主主義の破壊」』
⇒ヤフーニュースの記事へ ※こちらの記事は削除されました。 |
「共謀罪」法案をめぐる審議は、与野党が日付をまたぐ攻防を繰り広げる展開となり、参院で法務委員会の採決を省略した本会議採決が強行されたことに、野党議員からは「憲政史上の汚点」「民主主義の破壊だ」と非難の声が上がった。
委員会採決を省略する異例の「中間報告」の方針が伝えられた14日の夕方、野党議員らは参院議長室前に集まり、議事運営に抗議。与党議員らともみ合いになり、騒然となった。
(略)
同7時45分ごろ、法案が可決されると、金田勝年法相は深々と一礼。野党議員は採決後も立ち上がって抗議を続けた。
【時事通信 配信(ヤフーニュース)】
この「共謀罪」法案とは、
『2人以上の者が、犯罪を行うことを話し合って合意することを処罰対象とする犯罪のこと』で、具体的な「行為」がないのに話し合っただけで処罰するのが共謀罪の特徴とされていますし、『「合意」というのは、「心の中で思ったこと」と紙一重の段階ともいえるもの』という指摘もあります。
共謀罪につきましては、こちらの記事も参考にしてください。
⇒「共謀罪」に思うの記事へ ※グッドスキームの以前の記事です。 |
この法案の危うさは、捜査権限の大きさと、処罰対象の曖昧さにあります。
この法案が施行された場合、
これまで基本的に許されないと解されてきた、犯罪の実行に着手する前の逮捕・勾留、捜索・差押えなどの強制捜査が可能になります。
一方、処罰対象については、『違法性が高く、結果が実現する危険性も高い「組織的な犯罪」を実行しようと共謀した者を処罰の対象とするもので、例えば,暴力団による組織的な殺傷事犯,悪徳商法のような組織的な詐欺事犯,暴力団の縄張り獲得のための暴力事犯の共謀など,組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪を共謀した場合に限って成立する』とされています。
つまり「組織的な犯罪を共謀した者」が
処罰対象者とされていますが、具体的にどのような人がその対象者となるかという点での規定が不明瞭で、その結果多くの曖昧さを含む法案となっています。
『これは「組織的な犯罪」になる』と、当局によって拡大解釈される可能性があり、いわゆる国民の意思を示すことを目的とした現行行政への「抗議デモ」一つにとっても、当局者の判断次第で変わる(そこには政権与党への忖度も働きます)、ということが予測されます。
仮に結果的に立件されなくても、「共謀罪」のもとに強制捜査が行われること自体が、国民にとっての大きな脅威となることは明白です。
現行政治が常に正しいとは
限りません。それ故に、誤った政治を正すための抗議活動は、民主主義社会においては必要不可欠な行動ともいえます。
処罰対象者については、少なくとも司法による事前の認定が必要であり、そのためには司法の拠り所となる具体的な規定の存在が不可欠です。
今回、政府与党など賛成党は、この規定が不明瞭なまま法案を可決しましたが、これに反対する政党は、「決まってしまったのでしょうがない」と諦めずに、「法改正の必要な案件リスト」に載せて、それを掲げて、次の選挙を戦ってほしいと思います。
一度決まった法案でも、
次の政権で廃止、あるいは修正することができますので、多くの善良な被害者が出る前に、また国民の自由な活動が萎縮する前に、国民への訴えを強めて、法改正を実現していただきたいと思います。
犯罪者集団を野放しにすることも、また、ものいえぬ国民になることも、共に防ぐ法案こそが必要な法案であり、それを可能にする知恵は、きっとあると信じています。