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「共謀罪」についての法案が、

衆院法務委員会で審議入りしたという報道がありました。

まずひと言でいわれる、この「共謀罪」法案についてですが、これが何かということから整理したいと思います。

現在「組織犯罪処罰法」というものがあり、この中に「テロ等準備罪」を新設するための改正案が内閣によって提出されましたが、その内容が、『組織犯罪を計画段階で処罰可能にする「共謀罪」の成立要件を改めたもの』であるため、「共謀罪」法案と呼ばれるようになりました。

この法案が提出された理由としては、

国連越境組織犯罪防止条約を批准するためと説明されているようですが、国連越境組織犯罪防止条約第34条第1項では、国内法の基本原則に基づく国内法化を行えばよいことを定めていますし、国連の立法ガイドによれば、国連越境組織犯罪防止条約の文言通りの共謀罪立法をすることは求められておらず、国連越境組織犯罪防止条約第5条は締約国に組織犯罪対策のために未遂以前の段階での対応を可能とする立法措置を求められているものと理解されています。

また、国連越境組織犯罪防止条約の実施のために、同条約第32条に基づいて設置された締約国会議の目的は、国際協力、情報交換、地域機関・非政府組織との協力、実施状況の定期的検討、条約実施の改善のための勧告に限定されていて(同条第3項)、批准の適否の審査などの権能は当然もっていませんので、つまりは国連が条約の批准の適否を審査するわけでもないとのことです。

更に、

「共謀罪」法案は過去にも提出されており、その経緯について、次のような説明もありました。

『2003年の第156回通常国会で最初に審議され、その後二度の廃案を経て、2005年の第163回特別国会に再度上程され、継続審議の扱いとなり、第165回臨時国会においても、幾度とない審議入り即日強行採決の危機を乗り越えて継続審議となり、第170回臨時国会においても継続審議となりました。そして、2009年7月21日の衆議院解散で第171回通常国会閉幕により審議未了廃案となりました。』

ここまで見ると、長年に渡って審議されながらも廃案になった法案であることが分かります。

では、

この『組織犯罪を計画段階で処罰可能にする「共謀罪」の成立要件を改めたもの』としての、「共謀罪」法案の中身とはどのようなものなのでしょうか。

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「共謀罪」とは、2人以上の者が、犯罪を行うことを話し合って合意することを処罰対象とする犯罪のことで、具体的な「行為」がないのに話し合っただけで処罰するのが共謀罪の特徴とされています。
※「合意」というのは、「心の中で思ったこと」と紙一重の段階ともいえます。

近代刑法は、

「既遂」処罰が原則であり、「未遂」は例外、それ以前の「予備」は極めて例外、しかも、いずれも「行為」があって初めて犯罪が成立するというのが大原則とされており、つまり、犯罪意思(心の中で思ったこと)だけでは処罰せず、それが具体的な結果・被害として現れて初めて処罰対象になるとしているとのことです。

共謀罪は、この「予備」よりもはるか以前の「合意」だけで、「行為」がなくても処罰するというもので、このように処罰時期を早めることは、犯罪とされる行為(構成要件)の明確性を失わせ、単に疑わしいとか悪い考えを抱いているというだけで人が処罰されるような事態を招きかねないという指摘があります。

日本では過去に第二次世界大戦を経験しており、

そこでは300万人を超える犠牲者が出ていますが、その時の国内では、国家総動員法の元、戦争に反対する人への中傷や迫害という形で国民の自由が奪われ、有無をいわさずに、多くの人々が戦争に駆り立てられていきました。

戦争の反対を共謀すると、「国家組織の根本を危うくする行為を除去するため」と称して、「特別高等警察」によって逮捕され、その警察組織は「鵜の目鷹の目」の監視網を張り巡らせ、「銭湯の冗談も筒抜けになる」といわしめるほどの緻密さだったそうです。

日本では過去の戦争の総括をしていません。もし、あの時代に、自由に戦争反対の論議が交わされ、世論の形成がなされたとしたら、戦争を思い留まることができたかも知れません。

「共謀罪」の名のもとに、

為政者の判断で、自由に逮捕・取り調べができるとしたら、国民にとって、これ程不自由で閉鎖的な世の中はありません。また為政者の間違いを正すことが不可能になる危険性も多分にあります。

テロというのは、なんの前触れもなく突然、多数の一般人を無差別に殺戮することが多く、その防止策に苦慮している状況があることは理解できますが、たとえば密告などによって逮捕されるというようなことが常態化することは、決して望ましい姿とはいえません。

やはり対策の基本は情報収集力の強化におくべきで、逮捕・取り調べというものも、単なる憶測や、密告などではない「確かな証拠」に至るまでの事実の積み重ねに基づいて行われるべきだと思います。

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