がん細胞に特定の化合物を結合させ、光線を当ててがん細胞だけを死滅させる新たな医薬品を甲南大の三好大輔教授と川内敬子准教授の共同研究チームが開発したそうです。 |
『がん細胞だけ死滅させる医薬品を開発 甲南大チーム』
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がん細胞に特定の化合物を結合させ、光線を当ててがん細胞だけを死滅させる新たな医薬品を甲南大の三好大輔教授と川内敬子准教授の共同研究チームが開発した。がん腫瘍の表面だけでなく、中心部の治癒効果も期待できるという。11日の英科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」電子版に掲載された。
チームは、がん細胞の増殖や転移を促進するタンパク質「RAS」の一種で、皮膚がんや乳がんなどの原因となる「NRAS」に着目。NRASの遺伝情報を伝える「伝達RNA」と、伝達RNAの四重らせん構造に結び付く性質を持つ化合物「ZnAPC」を試験管内で混ぜて光線を照射したところ、伝達RNAが切断され機能しなくなった。
さらに、乳がん患者由来のがん細胞に対し、細胞組織を通り抜けやすい近赤外線を照射すると、ZnAPCを加えた細胞のみNRASが大幅に減少。がん細胞の約95%が死滅した。腫瘍中心部を想定した低酸素状態などでも同様の結果が得られた。
【産経WEST 配信】
がん細胞は
正常な細胞の遺伝子に徐々に傷がつくことにより発生すると言われています。
傷がつく遺伝子としては、細胞増殖に関わる遺伝子などが知られていますが、たとえは細胞増殖を加速する遺伝子が傷付いて加速し続けたり、逆に細胞増殖を抑制する遺伝子が傷付いて抑制できなくなったりして、結果的に細胞が増殖し続けるようになるとのことです。
また
傷の種類としては、DNAに異常が生じる突然変異と、DNA自体は変わらなくても使われ方が変わってしまうエピジェネティック変異とがあることが分かってきているとのことです。
報道ではいわゆる「傷がつく」ということを、増殖や転移を促進する「タンパク質ができる」ということで説明されているようですが、この「タンパク質」と結びつく化合物を混ぜて光線を照射したところ、その「タンパク質」が機能しなくなったということで、結果的に細胞増殖が抑えられ、いわゆるがん細胞は死滅した、ということになるようです。
この方法によると、
がん腫瘍の表面だけでなく中心部の治癒効果も期待できるし、また何よりも特定の「タンパク質」と結びついたがん細胞だけを機能停止させることができるので、正常な細胞へのダメージをなくすことができるということで、大変有効な治療法と言えるようです。
後は臓器毎にできる、増殖や転移を促進する「タンパク質」の種類を突き止め、さらにはその「タンパク質」と結合する化合物を見つけ出せば、いろいろな臓器のがんについても治療できるようになるかも知れません。
今後のこの分野における研究が、ますます加速されることを期待したいと思います。