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九州大大学院農学研究院昆虫ゲノム科学研究室の日下部宜宏教授のグループは、カイコを使い医薬品の原料を作る「昆虫工場」の事業化に乗り出すそうです。

『“昆虫工場”カイコで薬 九大・日下部教授ら春に事業化 100年の研究応用、安定供給目指す』

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九州大大学院農学研究院昆虫ゲノム科学研究室の日下部宜宏教授のグループは、カイコを使い医薬品の原料を作る「昆虫工場」の事業化に乗り出す。九大は約100年前からカイコの研究、保存を続けており、約480種の中から、ワクチンなどの原料となるタンパク質を大量に作るカイコを探し出した。日下部教授らは4月に会社を設立し、第1弾として動物用医薬品の原料製造を目指す。

インフルエンザなど感染症予防に使うワクチンは、毒性を弱めるなどしたウイルスを増殖して作る。鶏の受精卵や動物の細胞に感染させて増やすのが一般的。

一方、日下部教授らは、病気を引き起こす病原ウイルスの遺伝子の一部を、「遺伝子の運び屋」(ベクター)と呼ばれる物質を使ってカイコに注入。病原ウイルスに形は似ているが感染力はなく、安全なタンパク質(ウイルス様粒子=VLP)を体内で生成させる。

VLPは取り出して精製すると、ワクチンの原料になる。日下部教授らは約7年かけ、VLPを効率的に作るカイコを探し出した。カイコは飼育が比較的容易で大型施設なども不要なため、製造コスト低減などが期待できるという。

【西日本新聞 配信】

ウィキペディアによると、

『ワクチン(独: Vakzin、英: vaccine)は、感染症の予防に用いる医薬品。病原体から作られた無毒化あるいは弱毒カ化された抗原を投与することで、体内に病原体に対する抗体産生を促し、感染症に対する免疫を獲得する。』とのことです。

「病原体の培養を通じてこれを弱毒化すれば、その接種によって免疫が作られる」というルイ・パスツールの理論的裏付けにより、さまざまな感染症に対するワクチンが作られるようになったとのことです。

ワクチンは

大きく生ワクチンと不活化ワクチンに分かれるそうで、生ワクチンは毒性を弱めた微生物やウイルスを使用します。

液性免疫のみならず細胞免疫も獲得できるため、一般に不活化ワクチンに比べて獲得免疫力が強く免疫持続期間も長いとされていますが、生きている病原体を使うため、ワクチン株の感染による副反応を発現する可能性もあるとのことです。

一方、

不活化ワクチンは死菌ワクチンとも呼ばれ、狭義の不活化ワクチンは化学処理などにより死んだウイルス、細菌、リケッチアを使用するそうです。

取り扱いや効果において同様である抗原部分のみを培養したものを含めて不活化ワクチンと称されることもあり、生ワクチンより副反応が少ないが、液性免疫しか獲得できずその分免疫の続く期間が短いことがあり、このため複数回接種が必要なものが多いそうです(代表例として三種混合ワクチンやインフルエンザワクチンなどがあります)。

今回の報道では、

カイコの体内で病原ウイルスに似た、感染力はなく安全なタンパク質(ウイルス様粒子=VLP)を生成させ、それを取り出して精製することで、ワクチンの原料を得るというもので、不活化ワクチンに分類されるものと思われます。

カイコは飼育が比較的容易で大型施設なども不要なため、製造コスト低減などが期待できるそうで、また安全性が高い次世代型ワクチンは、海外の製薬会社などが特許を持っていることが多いため、将来的には安全な国産ワクチンの安定供給をもたらすための道筋をつける、一つの有力な研究応用といっても過言ではないようです。

九大では

1921(大正10)年から学術用カイコの“コレクション”を続けているそうで、今回の報道では、「長年の研究の積み重ねによって、貴重な成果がもたらされる」ということを、教えてくれたと思います。

その意味では国立大学における基礎研究の大切さを示す良い例といえるのではないでしょうか。

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