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国民の生活には様々なトラブルが発生します。

「貸したものを返してもらえない」、「迷惑行為を続けられている」、「騙されて損害が発生した」などさまざまなトラブルがあります。このようなトラブルの解決を求める時に、司法当局から聞かれる言葉の中に「民事不介入」という言葉があります。今日はこの言葉について考えたいと思います。

「民事不介入」とは何を意味するものなのでしょうか。

実際には民事不介入の文言を具えた法律及び政令は存在しないと言われています。警察法の拡大解釈により説明可能とする説もあるようですが、専ら不文律原則を前提にしていると考えられているとのことで、つまり文言が明記されてなくても解釈の仕方で適応できるものという扱いになっているようです。

一説には

明治時代においては警察権力の不足があり、戸主(家父長)による家庭内の紛争治安に任せていたという経緯があるようです。しかしその頃と現在では随分と社会が変わってきて複雑になっていますし、戸主制度も廃止されていますので、その意味では民事不介入の論拠は失われているとも言えます。

民事に対する言葉に刑事という言葉があります。民事不介入ということは刑事には介入するということの裏返しとも言えます。この民事と刑事ははたして全く異なる領域のものなのでしょうか。完全に区別して考えられるものなのでしょうか。

例えば

多くの事件の原因を見てみれば容易に想像がつきます。貸したものを返してもらおうとして口論となり、やがては暴力沙汰に発展して、その結果怪我をさせたり、命に関わる損傷を負わせたりという刑事事件を引き起こすことは多く、その意味では「多くの刑事事件の原因は民事にある」といっても過言ではないようです。

貸したものを返してくれたら刑事事件は起きなかったと考えることに無理はなく、むしろごく自然なことといえます。つまり民事と刑事は一体化した一つの人間行為ということができます。

先日の

テレビドラマでは刑事事件の容疑者に対して「民事的トラブルがあったようだが、それが原因でやったんだろう」と責めているシーンがありました。ドラマとはいえ、民事的トラブルが刑事事件の原因となることを認めているようで妙に興ざめした覚えがあります。

このこともいわゆる時代に適応していない一面だと思います。日本にはこのように時代の変化に適応していない法律、慣習、不文律、がたくさんあって、異常な状態であることを示しています。これを変えるのが政治家の役割だとすれば、政治家は何をやっているのでしょうか。

この民事不介入という言葉を聞いたとき、

一瞬頭をよぎるのは国家権力による民間への干渉です。何らかの民事的トラブルを理由に民間の活動を制限しようという意図のもとに権力を乱用することへの恐れとでも言いましょうか。この危険性を危惧する面もあることは想像できます。

そうなると

一つのクッションが必要になります。裁判所の新たな役割が浮上してきます。つまり民事的トラブルについて捜査すべきかどうかの判断を下すだけの機関の創設です。ここで将来「刑事事件に発展する可能性有り」と判断されたら捜査が開始されるというのはどうでしょうか。

法律の専門家ではないので細かいことは分かりませんが、一国民として思うのは、このような仕組みを作った方が「より刑事事件を減らすことになるのではないか」ということです。つまり民事的トラブルの捜査をすることにより、関係者の背景が予め捜査機関に抑えられているので、刑事事件に発展する可能性は減少すると思われるからです。

国民の平和を守るために

「犯罪の摘発」という過酷な業務に従事されている関係者の方々が多忙であることは想像できますが、未然に防ぐことで刑事事件が減少すると考えれば「民事トラブルの捜査-勧告(解決)」という仕組みも在るべきことではないでしょうか。

この事は病気への対処と同じ側面を持っています。病気になって治療するよりも、事前に予防措置がとられていれば病気にならないですむし、あるいは病気になっても比較的軽症ですむということがあります。犯罪捜査においても未然に防ぐ努力がされていれば、結果として事件に発展することを防げるし、あるいは事件になっても早期に解決できるのではないでしょうか。

私的な活動でもそうですが、

公的な活動では特に評価による影響が大きいと思います。その意味では犯罪の「検挙率」より、「未然防止率」を高く評価する制度を導入すべきなのかも知れません。

なかなか変われない日本ですが、現実に即応できる国に変えていくには一人一人がそれを望んでいることを示すことが一番です。そして国民が持っている意思表示の最終手段は「選挙」ですから、やはり「選挙」でそのような代表を選ぶことに尽きるようです。

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