今日は「終身雇用」ということについて考えてみました。
日本という資源の乏しい小さな国が、いわゆる経済大国となったのには理由があります。それは「終身雇用」という雇用制度があったことによると言っても過言ではありません。
自分がいつ解雇されるか分からない状況下では、
会社のために命をかけて働く気にはなれません。自分が働けなくなり年金で生活できる歳になるまで生活を保障してくれる会社があればこそと思うから、人はその会社に忠誠を尽くすのではないでしょうか。
たとえ大金をもらえなくても、
時には寝る間を惜しんで仕事に没頭するのは何故でしょうか。休みの日にまで仕事をするのは何故でしょうか。その他様々な辛いことがあっても、それを克服しようという気になるのは何故でしょうか。若い人達に自分の知りえた知識を親切に教えようと思うのは何故でしょうか。
それらは全て
会社による「終身雇用」という保障への恩返しの思いからではないでしょうか。この思いこそが不可能と思えたことも可能にする粘りを生み、技術を高める原動力となってきたに違いありません。
いわゆる弱肉強食の会社においては自分のノウハウを他人に教えることなど有り得ません。教えてあげた人間が有用になる程自分の価値が相対的に下がるからです。場合によってはその結果、自分が「首切り」の対象になることすらもあるからです。
これは戦国時代に似ています。
戦国時代のような社会においては多くの面において進化は衰退します。安心のないところに発展はあり得ないものです。発展がみられるのは戦いの技術くらいのものでしょうか。しかしこの得られた結果も他への侵略以外には使い道のないものです。
かの昔の戦国時代に
人々が望んだのは平和です。つまり「すきあれば人をだしぬく」社会の終焉を心から望んだのです。天下統一もそのための目標でした。
人は目先の利益で働く生き物ではありません。長い人生を穏やかに歩いていきたいと願う生き物なのです。だからこそ「終身雇用」という制度により安心して仕事に没頭できるのです。
人々は
少しずつ生活を豊かにすることで満足し、つまりは力強い消費者となって生産を支えることになります。
日本を経済大国へと押し上げた人達の中にはいわゆる「首切り」は経営者の恥と考える人がたくさんいました。これらの偉人に、もっと学ぶ必要があるのではないでしょうか。