米大統領選のドナルド・トランプ氏に関する報道がありました。
【トランプ氏、米軍のアジア地域駐留「利益ない」】
【ワシントン=黒見周平】米ワシントン・ポスト紙によると、米大統領選の共和党指名候補争いで、首位を走る不動産王ドナルド・トランプ氏(69)は21日、同紙編集局幹部との懇談で、日本や韓国などアジア太平洋地域の米軍駐留について、「米国が利益を得ているとは思わない」と述べ、否定的な見方を示した。(読売新聞 配信)
トランプ氏は一見、
日頃思っていることを気の赴くままに話しているような印象を受けます。その発言のほとんどが「アメリカはまず自分の利益を全面に押し出すべきで世界のことなど二の次でいい」という趣旨のもので、その自国優先を明確に打ち出している姿勢には違和感を覚えます。
これまでのアメリカは「世界全体の調和を大事にして、それが最終的にアメリカの利益にもなる」という姿勢を保っており、そのために結果的にいろいろと妥協する面もでてきて、それらへの不満をトランプ氏が一挙に吐き出しているようにみえました。
ドイツのヒトラーが
疲弊した国の状況を憂い、自国至上主義のもと、軍事力を強化して他国をどんどん傘下に納めた姿勢と相通じるものを感じます。とかく自国の利益を最優先すると、関係各国との間がギクシャクするので、世界的秩序維持の観点からは大きく後退することが懸念されます。
極端な表現をすれば「お互い勝手にやれば」という姿勢ともとられる発言は、決して歓迎できるものとは言えませんが、改めて日本の姿勢を振り返るならば、自国防衛の必要性を喚起させる要素を多分に含んでいるのではないでしょうか。
トランプ氏が大統領になると
すぐに政策が転換され、軍事的な日米協力関係が破棄されるとは考えにくいですが、やはり他国に依存する危うさを感じている国民は多いと思います。国の施策は長い時間を必要とするものなので、今からでも独自防衛力の強化を決めて、変化に対応できるように準備すべきだと思います。
その一方で、大国の方針転換によって混乱が生じないための仕組み(国連の強化など)を作るべく、積極的な提案や発言をしていくことも忘れてはならないと思います。
「強いものが勝つ」という姿勢から生まれるものは「混乱」のみであることを、忘れないようにしたいものです。