『モデルナのワクチン候補は、トランプ政権のワクチン開発支援策「オペレーション・ワープ・スピード」の対象で、最も開発が進んでいるものの一つ。これまでの小規模な治験では、参加者全員にウイルスの働きを中和する抗体の生成を確認していた。重篤な副作用も見られなかった。』という報道がありました。 |
米バイオ医薬ベンチャーのモデルナは27日、開発中の新型コロナウイルス向けワクチンが臨床試験(治験)の最終段階に入ったと発表した。実際に新型コロナが流行する米国内90カ所で、3万人を対象とする大規模な治験を行う。
米ファイザーも27日から世界各地で計3万人規模の大規模治験に入ると発表しており、ワクチン開発が大詰めを迎える。
モデルナは米国立衛生研究所(NIH)と共同で、モデルナのワクチン候補「mRNA-1273」の治験を進める。治験参加者にワクチン候補か偽薬(プラセボ)を接種し、新型コロナの感染や重症化を予防する効果があるかを調べる。
モデルナのワクチン候補は、トランプ政権のワクチン開発支援策「オペレーション・ワープ・スピード」の対象で、最も開発が進んでいるものの一つ。これまでの小規模な治験では、参加者全員にウイルスの働きを中和する抗体の生成を確認していた。重篤な副作用も見られなかった。
モデルナは開発と並行し、2021年以降、年間10億本規模の生産体制づくりを急いでいる。
モデルナは26日、最終段階の治験を進めるに当たり、米生物医学先端研究開発局(BARDA)から4億7200万ドル(約500億円)の追加資金を得たと発表した。これまでにワクチン量産に向けた支援として同局から4億8300万ドルを受け取っており、米政府からの資金供給は累計で10億ドル規模となる。
一方、ファイザーは27日、ドイツの製薬ベンチャー、ビオンテックと共同開発するワクチン候補「BNT-162」4種類のうち最も有望と見込む1種で中期~後期段階の治験を始めると発表した。
この治験では最大18~85歳の3万人の参加を募り、米国内39州とドイツ、アルゼンチン、ブラジルなど120カ所で進める。好結果なら10月にも緊急使用許可取得の手続きに入る方針。
ファイザーは2020年末までに最大1億回接種分、21年には13億回分のワクチン供給を目指している。
【日本経済新聞 配信】
報道では
『モデルナのワクチン候補は、トランプ政権のワクチン開発支援策「オペレーション・ワープ・スピード」の対象』と伝えられていますし、また別の報道では『米製薬大手ファイザーは13日、独製薬ベンチャーと共同開発する新型コロナウイルスのワクチン2種が米食品医薬品局(FDA)の優先審査の対象に指定された』と伝えられています。
更には英国のワクチン開発に関して『イギリスの製薬会社・アストラゼネカ社がオックスフォード大学と共同で開発を進めている新型コロナウイルス向けワクチンの供給を早ければ今年9月から開始する』という発表があり、そしてそれに関して『アメリカの保健福祉省はアストラゼネカ社に最大12億ドルの資金提供を行い、同社から3億回分のワクチンを確保することが明らかとなっている』という報道があります。
この
米国の徹底した「戦略性を重視する」姿勢には、いつも感銘を覚えます。
つまり今のこの状況を打開する 1 には何が一番必要かを考えて、そこに全力を集中するという姿勢すなわち戦略性は大変効果的な手法だと思います。
具体的には「優先審査の対象に指定」、「早い段階での資金提供」という点が挙げられますが、通常なら安全性を考慮しつつ慎重にワクチンの効果を確かめながら開発を進めるべきですが、特定の審査を優先させることで「他を犠牲にしても少しでも早く開発を進めよう」という考え方に徹すること、また通常なら果たして効果があるかどうか分からないものに資金を提供することはできませんが、「思い切って資金提供を決める」という考え方に徹することが大切で、最終的にそれらの集中策によって「感染症の収束と経済の立て直しを図る」という最終目標が短期に達成できるものと思われます。
この
米国の姿勢に比べて日本の姿勢はどうでしょうか。
ワクチン開発のための積極的な「審査等の優先策」や「開発促進のための資金提供策」は行われているのでしょうか。
つまり可能性の高いワクチン開発を特定し、その審査を優先させ、さらに前もって資金を提供するといった優先策は打ち出されているのでしょうか。
ワクチン開発とは別に、
米国の財政出動に関する報道も伝えられています。↓
『米共和党の議会指導部は27日、1兆ドル(約105兆円)規模の追加の新型コロナウイルス対策法案を正式に提示した。8月中にも2500億ドル規模の現金を家計に再支給するほか、失業保険の特例加算も減額して延長する。民主党は3兆ドルの巨額財政出動を求めており、法案成立は8月にずれ込む可能性がある。』
ワクチン開発も
大切ですが、日本の財政出動の第二弾はどうなっているのでしょうか。
このように見てみると、日本の政治はまるで「進路の定まらない船」にたとえたくなりますが、「国家的な資金や権力を国民のために用いるという方針の下で、一貫した道筋を描いて施策を講じる」という政治の根本が、もはや消失してしまったのではないかと感じている人も多いのではないでしょうか。
参考情報: