『日本では検査数が少なすぎるとの批判から政府は検査能力の拡大や簡易検査キットの開発など、対応を急いでいる。』そうです。 |
※この記事の掲載日時:[2020年3月19日 木曜 午後3:30]
[PCR検査の実施数]
韓国 28万6716人(3月18日0時現在)
日本 1万5655人(3月17日12時現在)
※4月9日では日本 6万4387人となっています
日本と韓国で大きな差が出ているこの数字、新型コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR検査の実施数だ。日本では検査数が少なすぎるとの批判から政府は検査能力の拡大や簡易検査キットの開発など、対応を急いでいる。
ソウル在住の私の周りでは「韓国の検査は世界一」「韓国の検査体制を世界中が称賛している」との自画自賛の声が大半だ。なぜ韓国では、世界でも類例を見ない程大量のPCR検査が行われているのか、調べてみると両国の検査に対する「認識」の大きな違いが見えてきた。
韓国の検査が多い理由としてよく上げられるのは、2015年にMERS(中東呼吸器症候群)を経験した事が挙げられる。MERSが猛威を振るった事の反省として韓国政府は以前から検査体制を充実させていたのだが、ここでは詳細を割愛する。もう一つ重要な点は、韓国ではPCR検査の判定には間違いが多いという認識が、ほとんどない事だ。
日本の複数の感染症専門医が発信している情報によると、新型コロナウイルスの感染の有無を調べる場合、PCR検査の信頼度はそれほど高くないとの評価が多い。感染している人を正しく「陽性」と判定できる割合を「感度」と呼ぶが、実際に感染者の治療を行った国際医療研究センターの忽那賢志医師は「感度は70%くらいかなと感じています」と発信している。一方、感染していない人を正しく「陰性」と判定する割合は「特異度」と呼ばれる。これは感度に比べて相当高いようだ。はっきりした数値が出せないのは、蔓延して間もないウイルスなので、データが少ないためだろう。
前出の忽那医師や静岡県立静岡がんセンターの伊東直哉医師など感染症のプロの方々が「感度」や「特異度」について分かりやすく解説して発信しているので、詳しくはそちらを参照して欲しいが、ざっくり言えば、PCR検査の結果には不確実性があり、感染していないのに陽性判定される偽陽性や、感染しているのに陰性判定される偽陰性がどうしても出るという事だ。さらに言えば、検査する対象を、感染が疑われる症状のある人に限定すれば偽陽性と偽陰性の絶対数は下がり、軽症者や無症状者を含む多くの対象を検査すればするほど、偽陽性と偽陰性の絶対数が上がるのだ。
【FNN PRIME 配信】
報道からは、
「日本では正確性を大事にしており、その信頼度を上げるうえでも、症状のある人に限定して実施しているが、一方韓国では正確性にはこだわらず、数を増やすことを優先して実施している」というようなことが推察できるのではないでしょうか。
このPCR検査の実施数については、他にも報道が見られます。
※この記事の掲載日時:[2020年3月18日 17時42分]
この報道の時点では、
『1日に可能な検査は、2月18日には約3800件でしたが、今月16日の時点では約2倍の7504件に増えました。』とのことです。
また『ウイルス検査は今月6日から公的医療保険が適用され、医師が必要と判断した場合、保健所を通さずに検査が可能になりましたが、こうした検査は集計できた分をみるとまだ全体の2%ほどとなっています。』との文言も見られます。
ドライブスルー方式についても『一方、日本での導入について厚生労働省は「医師が診察したうえで検査が必要とされた人が受けるのであれば、ドライブスルー方式についても検討することはあり得る」としています。』との文言が見られます。
これらを総合すると、
日本では「簡易的な検査により、やたらに検査数を増やすよりも、本来の検査法に基づき、正確に感染者を見つける」という姿勢がうかがえるようです。
幸い日本では感染による死者数が爆発的に増加しているということはなく、その意味ではその姿勢に間違いはなかったと思います。
つまり「間違いの多い検査結果に基づき、多くの偽陽性の患者を入院させることで、本来の重篤化した患者の命が救えない」という最悪の事態は回避できたと思われます。
従って外出禁止の措置などは、ある意味、緩やかでも良く、それ故に休業補償も緩やかで良い、ということだったと思います。
しかし
これからは、それとは異なる段階に突入するものと思われます。
つまり無症状の感染者が相当数に達しており、その数が日ごとに増えることが予想されるからです。
それは結果的に死者数の大幅な増加という事態を招く恐れがあるということになります。
それを防ぐには、
何よりも「高齢者や基礎疾患を持っている方々(できれば全員)のPCR検査を急ぐ」ことだと思います。
仮にそれが難しいのであれば、簡易的な検査でも良いですが、「初期症状を訴えている人のPCR検査を大幅に増やす」ことで、陽性(偽陽性)の患者を高齢者や基礎疾患を持っている方々から遠ざける必要があると思います。
現実にはその両方ということになるのでしょうが、そうすることで死者数の大幅増加が防げるものと思われますが、一方で未検査の方々の接触を、今以上に強力に防ぐ(必要最低限以外の職場は全て閉鎖する)必要にも迫られるものと思われます。
※今の死者数の多い諸外国と同様になることが予想されます。
つまりは
外出禁止をより一層強めることになりますが、そうなると『職場の確保(給料の保証)のための「無担保・無利子による長期借入を可能とする政策」が急務』となりますし、また『無職の方々を考慮しての「独身世帯で年収180万円以下の国民への、その差額(180万円 – 予想年収=今の月収×12)を生活保護費として支給するなどの施策」が必要』となります。
※制度の実施が遅れればさらに一時的な一律の給付金も必要になります。
これまでの
政府の対応を見ていると、あまりにも「遅きに失した」感がありますし、また「制度的な効果が疑われる」側面も否めないような気がします。
「死亡者が大幅に増加してからだと遅い」ということを肝に銘じて、有効な施策を、早め早めに、そして次々と実施していただくことを、心から願ってやみません。