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がん治療薬が半額になるそうです。

『オプジーボ、きょうから半額 製薬業界「新薬開発が進まない」』

新型がん治療薬「オプジーボ」の薬価が二月一日から半額になる。高額な薬価が社会保障費を圧迫すると問題視され、昨年、緊急的に薬価の引き下げが決まった。異例の対応に製薬業界には「日本で新薬開発が進まなくなる」との懸念がくすぶり、議論が進んでいる薬価制度見直しへも警戒が強まっている。

 オプジーボは国内では小野薬品工業(大阪市)が二〇一四年九月に発売したがん治療薬で、従来の価格では患者一人への投与で年間三千五百万円かかるとされる。適用するがんの種類が広がり、利用する患者が増えている。
【東京新聞  配信】

薬価を決める厚生労働省の

中央社会保険医療協議会(中医協)では、薬剤の価格はすべて、2年に1度の診療報酬改定によって、市場の動向に合わせ見直すものとしているようです。

2016年度からは、年間販売額がきわめて大きい品目は、「特例市場拡大再算定」の扱いとなることが決められており、オプジーボは、販売額が1,500億円超と算出されたため、この特例の対象となり、2年を待たずに、最大の50%の引き下げとなったとのことです。

この背景には、

「高額療養費」という仕組みの影響があるようです。

これは、患者の医療費負担が過大にならないよう、一定額を超えると公的保険制度で賄う仕組みのことで、つまり保険には税金も投入されており、高額の薬剤の利用が増えるほど、財政に負担がかかるため、これを回避したいということのようです。

薬剤の値段の決め方には

「類似薬効比較方式」という方法もあるようですが、オプジーボは世界で最初に日本で承認されたため、他の国と薬価値段を比較し、調整することができなかったとのことです。

もし他の国の薬価を参考にできていれば、もう少し安くなっていた可能性もあるようです。ちなみに、日本での改定前のオプジーボの薬価値段は100mgで約73万円ですが、アメリカでは約30万円、イギリスでは約14万円という報告もあります。

製薬会社としては、

新薬の開発には10年以上の期間が必要であり、費用は多いもので1,000億円を超えるということで、高額で販売しなければ採算が取れないという考え方のようですが、半額で販売しても、利用される量が拡大すれば、それに応じて利益が増えることを考えれば、それほど懸念することではないように思えます。

今回の見直しで、点滴静注20mgは150,200円から75,100円になるとのことですが、利用者にとってみれば、それでもまだ高額という印象は拭えません。

これまでは価格の話でしたが、

この薬剤の効能については次のように伝えられています。

人間には元々免疫細胞というがん細胞を攻撃する力を持った細胞がありますが、この免疫細胞の動きを抑える分子(免疫チェックポイント分子:PD-1)が存在し、これによりがん化が進むことがあるとのことです。

そのため、PD-1を阻むことで、免疫細胞を活性化させ、がん細胞を攻撃できるようにすることを狙いとした、抗PD-1抗体という薬が開発され、その一つがオプジーボということです。

現在用いられている抗がん剤には、

分子標的薬というものがありますが、これは特定のがん細胞の増殖に関わる分子に作用するものですが、抗PD-1抗体薬のような免疫細胞に作用する薬は、それらの抗がん剤とは異なり、がんの種類を問わず効く可能性を秘めているといわれています。

企業というものは、

消費者無しでは、存在することができません。

倒産するような事態は、決して望ましいことではありませんが、そうでない限りは、これから需要が伸びるような製品、特に薬剤のような生命に関わるものについては、儲けよりも患者のことを考えて、なるべく安価なものにして、流通拡大を図る努力をしていただきたいと思います。

企業の生命線は、利益の増大ではなく、生産性の維持だと思います。そして生産は消費が無ければ意味がなく、その意味では、生産力と消費力との調和ある発展こそが、より高い生産性の維持を可能にすると、いえるのではないでしょうか。

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