混合診療、原則大病院100カ所で
少し古い記事になりますが、次の記事をご覧ください。
【混合診療、原則大病院100カ所で 再生医療も対象】
(日本経済新聞配信 2014/11/5付)
厚生労働省は5日、保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」拡充の具体案を示した。原則として全国約100カ所の大病院で実施し、中小病院や診療所は患者を紹介するのが主な役割になる。6月時点では診療所を含む「身近な医療機関」で受診できるようにする方針を掲げていたが、実質的には高度医療を担う中核病院にほぼ限られる公算が大きくなった。
[略]
混合診療を拡充する仕組みは「患者申し出療養(仮称)」と呼ばれ、患者が希望すれば、抗がん剤など未承認の新薬や医療機器を幅広く使えるようにする。対象になった薬や機器は検査や処置、入院費など保険診療との併用が認められ、患者は今より軽い負担で先端医療を受診できる。
[略]
同日の中医協は、患者らの細胞を使って体の組織を修復する再生医療製品を混合診療の対象に新たに加えることを了承した。診療を通じて安全性や効果が認められた再生医療製品は、健康保険が適用されるようになる。
これは2016年4月に
スタートした患者申出療養の意図するところを表しているものと思われます。この中で注目すべき点は「再生医療製品に健康保険が適用されるようになる」という点です。
再生医療とは正常な幹細胞を注入することによって、その部位の組織を再生することで、乳ガンなどでの施術例が報告されています。
この再生医療の重要な点は、
幹細胞という特定の細胞に分化できる能力のある細胞がありますが、これがガンとなったガン幹細胞が抗がん剤に強いという点にあります。
つまり幹細胞は体の細胞の供給源なので、幹細胞がなくなると生命そのものが脅かされることになり、それ故に自分を攻撃するものを排除する仕組みがあると考えられ、それがガン化したガン幹細胞にも同様の仕組みが働くということです。
この抗がん剤に強い
ガン幹細胞を死滅させるためには、抗がん剤の威力を増す必要がありますが、抗がん剤というものは、正常な細胞をも死滅させるという側面もあり、それ故に、正常な幹細胞を大量に注入して補うということが重要になってくるのだと思います。
幹細胞は、これまでは骨髄液から採ってきていたとのことですが、最近の研究では脂肪に多くの幹細胞が含まれることが分ってきたという報告もあります。
京大の山中伸弥先生が、万能細胞を作成する手法を開発・実証されましたが、その中で幹細胞の研究を行うことで、より有効な再生医療への道が開かれることになると思います。
この再生医療の他にも、
免疫療法や、あるいはガンに栄養を与えない方法など、いろいろなガン進行を抑制する方法が検討・実施されているところですが、今一番大事なことは、比較的安価にガンと戦える道筋をつくることです。
保険診療だけでも大きな出費となっている上に、自由診療となるとさらに大きな出費となります。そんな大きな負担を強いられている患者に対し、保険診療の給付を打ち切るという「混合診療の禁止」については、医療費の高騰を防ぐという側面での効果を認めつつも、もっと柔軟で、可能性を広げる制度への転換が図られるよう、関係者の最大限の努力を期待してやみません。
今、発現していない人でも、
体内にはガンの芽が潜んでいるはずで、その意味では、決して他人事ではありません。
そのことを、関係者のみならず、国民全員が認識して、共にガン撲滅への強力な体制を敷くべく、力を合わせる時が、今きているのだと思います。