がんを克服しよう(1)
混合診療について調べてみました。
現在、国の制度として、
保険診療と自由診療を併用する混合診療が原則禁止されていることは、衆知の通りです。
ある大手病院の医師は、行政当局から、「混合診療禁止に違反する事例が見つかった場合、当該診断名がついた疾患に関しては、過去の事例も、将来の事例も、同じ診断名である限りすべて混合診療だとする」と言われたそうです。
これは、あるがんについて、混合診療例が1例でも見つかれば、その病院のその種のがん患者は、すべて混合診療だと疑い、健康保険から病院への支払いはしない、ということを意味しており、混合診療禁止政策の厳格運用を行おうとする行政の姿勢が、如実に現れている事例といえます。
ではそれ程までして、
混合診療を禁止しなければならない理由とは何でしょうか。
それは主に、病院側の変質を恐れてのことだと考えられます。つまりこれまでは保険診療の範囲内で、何とか治療しようと努力していた病院が、自由診療を併用できるようになることで、「ここからは自由診療でやってください」という具合に、安易に線引できることになり、それによる医療費の高騰を防ぐ意味があるようです。
更には、自由診療を実施する病院によっては、安全性、有効性に問題のある医療を行うこともあり、それを監視できないということもあるようです。
確かに
それらのことはあり得ることで、そうならない対策は絶対に必要だと思いますが、一方で、がん治療のように、従来の医療だけでは不十分で、免疫療法や、再生療法などの自由診療を併用したいという要望を叶えることも、また同程度に必要なことだと思います。
従来でも 「保険外併用療養費制度」というものがあり、その中に評価療養があり、さらにその中に先進医療制度(2006年スタート)があるようです。
しかし、「先進医療制度では患者さんから実費(直接経費)しかいただけない制度のため、必ず赤字になるので、先進医療制度に登録していない」という、自由診療を実施している病院の見解もあり、それではあまり有効な制度とはいえないようです。
幸い、
その後、患者申出療養(2016年4月スタート)が行われることになったので、この制度を利用して、特にがんを患っている皆さんには、免疫療法や再生療法などの自由診療との併用が、一刻も早く認められることを、切に祈っています。
がんと戦っている患者さんにとっては、だらだら何年もかけて初めて認められる制度など、ないに等しいもので、その意味でも多くの人数を投入して、認可への迅速な判断がくだされる運用となることを、強く望むところです。
そして最後に、
関係者の皆さまには、「多くの大学病院が、より積極的に、患者申出療養の趣旨に対応したサポートを行い、またそれに基づく自由診療を行う日がくること」を、心待ちにしている患者が、たくさんいるということを、決して忘れないでいただきたいと思います。