派遣労働
皆さんはいわゆる「派遣労働」についてどう思われますか。
いわゆる正社員と言われる人達は何らかの組織的背景の下に働いています。組合があったり、組合がなくても自らが所属する会社と直接、労働基準法の制約の下で働く仲間がいます。
ところが派遣社員の場合は、
社員と所属する派遣会社との関係は大変希薄で、正社員と所属する会社との関係とは比べものになりません。それに同じ派遣会社に所属する仲間同士の関係もきわめて希薄で、とても仲間と呼べるものではありません。各個人はいつもバラバラになって働いており、いわゆる組織的背景は無きに等しいものとなっています。
この様な状態では条件の交渉もその場限りとなり、派遣先の保証もありません。年齢が高くなると派遣先も減り、安心した老後を迎えることは難しいと言えます。
個人の力には限界があります。
- 新しい技術が主流になった時に、その新技術への切り替えがし難い
- 今の仕事から次の仕事への切り替えが不確定
- 自分達の営業権をいつまでたっても持てない
- 病気になった時の保証がない
- 年齢が高くなった時の保証がない
など様々なマイナス要素の中で働かざるを得ません。
若いうちなら何とかやっていけても「今だけ良ければそれでいい」という事ではとても長い人生を安心して暮らすことなどできません。
通常なら
良い仕事をすれば「あそこは素晴らしい会社だ」という信用ができ、同じ会社の社員の評価も良くなったり、貢献度も考慮されたりしますが、派遣会社ではいつまでも個人一人一人のままで信用の蓄積もできません。本来なら信用の蓄積は大きな財産になるはずですが、それが持てないということは大変残念な状況だと思います。
派遣会社への各個人の登録制という
希薄な関係ではなく、本来の会社と正社員のような組織的背景を各個人が共有できるような仕組みの適用が必要だと思います。元々は各個人が特別なスキル(技能)をもっていて、どちらかというと一人でも強い立場にいる人達を紹介するための派遣会社であったため、その関係は希薄でも問題はなかったのですが、それが変化してきている現在では不十分なものとなっています。
特別なスキル(技能)があれば引く手あまたなので、いつ契約を打ち切られても大きな問題にはなりませんが、現在の多くの派遣社員はそうではありません。行政や組合、そして政治に関わる人達には、これを解決すべき大きな義務があるのではないでしょうか。