経営方針と現場目線

今日はいわゆる「トップダウン」と言われる「方針」と、それに対する「現場目線」について考えてみました。

方針が間違っていれば組織の大きなエネルギーが空回りするだけではなく、ブレーキをかけることにもなりかねません。組織にとって、その方針が「いかに的を得たものであるか」ということは、正に経営の浮沈に関わると言っても過言ではなく、それだけに方針を決めることは大変難しいことと言えます。

このような方針は

企業を想定した場合、多くは経営トップから出されるのが通常で、従ってトップダウンの傾向が強いものとなります。トップの目線は当然「経営そのもの」にあるため現場サイドの観点よりはむしろ、海外を含めた他組織との競争(比較)という観点から打ち出されることが多いものと思われます。

たとえば「強い経営組織を作るためにはどうするか」ということになると、劣っている分野からの撤退、あるいは一層の強化策に見られるような統合と集中のような方針が主となることが多いものです。そしてこのような大きな方針から具体的な方針が打ち出されることになります。その際参考にされるのが他社の実績や、歴史的な事例や、書物によるノウハウということになると思われます。

しかしここには

一番大切な現場サイドの目線が欠ける傾向があります。それは現状を変えたいという思いのためで、変える対象からはそんなに得るものは無いと思い込んでしまうことにあると思われます。

結果として現場の目線の欠けた、いわゆる斬新な方針が打ち出されることになりますが、これは形ばかりの理想的な方針と呼ばれるものになりがちです。

日本における素晴らしい技術の多くは、

現場から育まれたものです。これは日本だけではなく世界中同じだと思います。現場こそが多くの問題を指摘してくれる中心といっても過言ではありません。

現場における課題の中で、これまでやりたいが無理だと考えられているものがいくつかあるはずです。この中から一番将来性のあるものを選んで、それを達成するための条件を整え、更に抽象化して方針を明確にすることで、真に的を得た方針ができることも少なくはありません。

このような

ボトムアップ方式の方針の良さは、たとえそれが達成できなかったとしても、その方針に基づいた開発などの活動を通して、多くの貴重な財産が得られるところにあります。物作りの中心を外さない目線の下で得られた情報であればこそ、必ず次のステップに役に立つからです。

現場レベルだと

どうしても視野の狭さという結果を伴いますが、問題意識を持った現場の人に幅広い発想を呼びかければ視野は急速に拡大するものです。そこにトップの先見性、取捨選択の能力を注げば真に目指すべき方針が生まれ、それに従って大きく飛躍できることは想像に難くありません。

現場目線を重視した経営方針は実態を強く反映するものと言えます。つまりそれだけ「効き目が強い」ということになるのではないでしょうか。

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