人件費の削減、数か金額か

生産コストの削減策における人件費の考え方について検討したい思います。

今はデフレの世、不況の世と言われています。この不況の世の中においては、できるだけ生産コストを低く抑えて販売価格を下げ、需要を増やそうという傾向が強まります。

生産コストを抑えるには

仕入価格や請負価格、人件費などを下げることになります。中でも一番関心をもたれるのは人件費の削減だとも言われています。

人件費とは

社員などの内部要員や外注者などに支払われる費用が対象となりますが、これを減らすということは携わる人々の数を減らしたり、費用を下げる(=一定費用での単位労働時間を増やす)ことを意味します。

大きく「数と金額」の二つの方策を挙げましたが「このどちらがより有効か」ということについて考えてみました。

一つ目は「数」、

すなわち社員数を減らすという方策ですが、この方策の欠点は会社の質の低下を招くことです。

社員は新人で入社してから、色々な経験を積んでおり、会社の業務を内側から見直して質的向上を可能にする存在とも言えます。

この人達を減らすということは、その可能性を失うだけでなく、他社(国内のみとは限りません)に入社して競争相手の強力な戦力になることも考えられます。そして何よりも致命的なのはモラルの低下をもたらすということです。

永年会社のために尽くしてきた人達を減らすという方針は「いつ自分の番がくるのだろうか」という気持ちを植え付け、周りの全社員の会社への信頼感を低下させます。この不信感は心底会社のためを思って働く人を減らし、結果的に会社の核の崩壊が始まります。

この社員数削減策は、

結果的にその人達の再就職が適わなければ、国レベルで見たとき、国の「購買力の低下」と「技術力の低下」が同時に進行することを意味します。

資源の少ない日本のような国は技術力だけが頼りで、一旦低下が始まるとその回復には大変な時間がかかると思われます。

次に二つ目は「金額」、

すなわち単位時間当たりの労働時間の延長(給料を下げる)という方策ですが、これは「会社の核」についてみた場合は、温存するということを意味しています。

理想的には他国での安い生産コストに合わせた金額までの賃金カットが行われるべきかも知れませんが、生活水準というものはそんなに簡単に変更できるものではありません。従って賃金カットはある程度の水準で抑えられますが、その代わりに技術力を駆使して生産性を上げることにより、その差分を補う可能性が残されています。

皆がやる気になって

工夫が重ねられ生産性が増せば、再び賃金アップへの道が開けることも可能であることを思えば、国レベルで見た場合も、会社独自で見た場合も「数」の削減ではなく、「金額」の削減を選択すべきことは明らかだと思います。

日本は皆で努力すれば必ず切り抜けられる力を持っています。戦後の復興を見れば良く分かります。だからそれを信じて、恐れずに行くべき道を行くのみではないでしょうか。

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