専門家・医系技官と政治家の隠微な関係

『臨床医でありながらコロナウイルスに関する世界最新の知識を渉猟し、この国の医学界と政治との関係にも詳しい医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏に引き続き話を聞いた。』との特集記事がありました。


 

これまでのコロナウイルス対策のほとんどすべてを間違え続けてきた日本の「専門家」たちと厚生労働省・医系技官。彼らが群棲する「感染症ムラ」と日本の政治家とは具体的にどのように繋がっているのか。

臨床医でありながらコロナウイルスに関する世界最新の知識を渉猟し、この国の医学界と政治との関係にも詳しい医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏に引き続き話を聞いた。

尾身茂さんのキャリア
――医系技官の下請けと言えば、医系技官OBの尾身茂(地域医療機能推進機構=JCHO=理事長)さんを思い出しますが、その尾身さんが政府の分科会会長です。

上 
この方のキャリアを見てください。自分が書いた筆頭者論文が1本しかない。そもそも大学教授なんかの資格はありません。たとえばアメリカで尾身さんと同様の立場にいるアンソニー・ファウチ(国立アレルギー・感染症研究所所長)氏と比べるとよくわかりますよ。少年野球レベルとメジャーリーグの選手を比べるようなものです。

アンソニー・ファウチはコーネル大学を首席で卒業後、国立衛生研究所(NIH)に50年以上勤務、エイズなどの感染症対策に取り組んだ。世界有数の科学・医学誌『ネイチャー』『サイエンス』だけでも46本の論文や論稿を発表している。 1983―2002年の期間、世界の科学誌に最も引用された研究者の一人とされた。 国立アレルギー・感染症研究所の上部組織NIH長官に何度も推されながら固辞、エイズやエボラ研究などの先頭に立った。非科学的な方針を打ち出すトランプ前大統領に正面から反対する姿勢でも注目された。

大変な経歴があって、いまだに聴診器を忘れないファウチ氏に対して、日本の尾身さんの筆頭者論文は、自治医科大学の院生の時の1本だけです。話になりません。

【朝日新聞デジタル 配信】

このたびの

新型コロナウイルスに対する感染症対策については数多くの疑問があげられています。

なぜ国民的なPCR検査を実施して無症状感染者を含めた感染者のみを自粛させないのか、なぜ欧米に比べて(表面的には?)感染者の少ない日本の医療崩壊が懸念されるのか、なぜワクチン接種などの緊急承認がこんなに遅いのか、なぜ感染時の具体的状況の調査結果が公表されないのか、なぜ新型コロナウイルスによる直接的な死者数と間接的な死者数を区別して公表しないのか、そもそもなぜ日本の感染症体制が脆弱なのか、等々いろいろな疑問点が山積しています。

それらの

疑問を解く鍵がこの特集記事の中にあるのかも知れません。

つまり一言で言えば「専門家ではない人達に(お金も含めて)感染症対策を任せた」のではないかという疑念を抱かざるを得ないということになります。

現在、

新型コロナウイルス(感染症)の感染症法上の位置付けは「指定感染症」となっており、危険度が5段階で2番目に高い「2類相当」ということで対応が進められていますがそれをインフルエンザと同じ「5類相当」にすべきという意見もあります。

結局「2類相当」の場合は保健所や医療機関が入院勧告や就業制限措置、速やかな発生届け出など多くの対応にあたることになるので、そこまでの対応が必要かということで疑念が生じている訳です。

実際

オミクロン株になってからは感染者の数が大きく増加しており、またその人数に対して重症化する人の割合が低下していることも指摘されており、つまりは危険度的にも入院を強制するようなものではないとの見解が世界的なコンセンサスとなっているようです。

仮にアメリカのアンソニー・ファウチ(国立アレルギー・感染症研究所所長)さんのような本当の専門家が日本にいて、その人に(お金を含めた)感染症対策を任せる(=政治家や行政に対する助言の依頼)ことができれば大きく変わるような気がします。

当然

その場合は、今仮に「インフルエンザと同じように症状が重くなった時のみ病院に行って治療を受ける」ということにしたらどうなるかという科学的なデータに基づく回答も得られるものと思われますので、それに従って法律も変えるべきは変えてもっと事態に即応した対応が可能になるものと思われます。

今一番心配なのは「高齢者の重症化」と「後遺症の程度」ということにつきると思いますが、まずはこれらについての科学的データ(ワクチン接種と未接種の場合の違いも含めて)をまとめ、新型コロナウイルスの感染前と比べてどうなのかを明確にすべきだと思います。

そして

仮に「基礎疾患のある人のみ重症化の危険あり、後遺症の程度は許容範囲内」というデータが得られたら、感染そのものへの極端な対応は止めて(感染しても本人判断に任せる-病院での治療の際も極端な行政による干渉は止めるなど)国民の希望に沿った形に対応を変えていくべきだと思います。

前述の2類や5類といった分類の変更についても科学的データと適切な助言を信じて、どんどん決めていく(6類や7類を作るなども含めて)べきだと思います。

仮に

今ウクライナのような戦争状態にあれば行政もどんどん事態に即した決定を下すものと思われますが、感染対策でそれができていないということは逆に言えば「感染の蔓延をそれほど大変な事態だと認識していないから」ということもできますので、もしそうであるならもっと心を引き締めて対応にあたっていただきたいと思います。

いずれにしても日本の今回の新型コロナウイルスの感染症対策についてはしかるべき機関で、特に2類相当に指定したことやお金の使い方などについても、きちんと検証されるべきだと思います。

所詮、

独裁国家では報道規制をしたり、また検証なども一切行われないと思いますが、日本はまだまだ成熟してはいないとはいえ一応は民主主義国家ですから、しっかりと検証して過ちがあれば指摘し今後への参考にしていかなければならないと思います。

特にサービス(接客)業に携わる皆様のご苦労を思えば、今回の感染対策の評価を曖昧にしておくことは決して許されることではないと思います。

 

参考情報: