年収960万の線引き、どこからきた?

『政府が19日にも決定する新たな経済対策で、最大の目玉である18歳以下の子どもへの10万円相当の給付は、いったいどういう家庭の子どもが対象になるのか。』という記事が掲載されていました。


 

政府が19日にも決定する新たな経済対策で、最大の目玉である18歳以下の子どもへの10万円相当の給付は、いったいどういう家庭の子どもが対象になるのか。実際の細かな線引きは政府が検討中だが、給付対象の所得制限をめぐる自民党と公明党の協議をもとに、線引き論議の現状をまとめた。

子ども向けの給付はもともと、公明がさきの衆院選の公約で「未来応援給付」と名付け、訴えたもの。0歳から高校3年生までを対象に一律1人10万円相当の給付を掲げた。

公明の山口那津男代表は当初、「親の所得によって子どもを分断すべきではない」などと、所得制限を設けない考えを示していたが、バラマキ批判などを懸念した自民側との協議で、親の年収が960万円以上の子どもを対象から除くことで合意。対象の子どものうち、1割程度がもらえないとされる。

この年収水準は何に基づくものなのか。

自公協議で出ていたのは「児童手当に準じる」ということだった。児童手当は原則、3歳未満は1人月1万5千円、3歳から中学校卒業までは1人月1万円受け取れる制度。子どもを養育している父母などに原則、市区町村を通じて支給されている。

ただ、所得の高い人は支給額を月5千円に減額する「特例給付」という仕組みがある。その線引きのモデルケースとされる「子ども2人と年収103万円以下の配偶者」の場合の年収目安が960万円以上で、これに準じたという。

【朝日新聞デジタル 配信】

記事では

『いったいどういう家庭の子どもが対象になるのか』という点から分析を進め、『では、だれの年収で判断するのか。特例給付の場合、これは「世帯の中で所得が最も高い人」の年収となる。つまり、共働き家庭では、夫と妻の収入を合計した世帯全体の年収ではなく、夫か妻の年収が高い方の年収で判断する。』ということで、世帯全体の年収でないことへの矛盾点を指摘しているようです。

つまり夫か妻のどちらかが年収 960 万円 を超えた家庭の「18 歳以下の子ども」は給付対象とはならず、一方で共働きで夫も妻も共に年収 950 万円( 960 万円を超えない)の家庭の「 18 歳以下の子ども」は給付対象になるということで、世帯全体で見た場合に高収入であっても夫か妻のどちらかで見た場合は高収入ではないとする判断基準への矛盾点を指摘しています。

これは

全くその指摘通りのおかしな基準だと思いますが、私は本来年収で給付対象を絞る必要はないと思っています。

仮に税制が正しく運用されているならば(?)、高収入の家庭ではそれだけ多くの税金(所得税など)を収めている訳で(その結果として)国の資金が蓄積されていることを前提とするのであれば、そのお金の使いみち(今回のような給付金)については公平に使われて然るべきだと思います。

ただ一方であまりにも格差が拡大している場合や税金対策と称する納税逃れのようなことが蔓延している場合は「割り引いて考える必要があるかも」という思いもあります。

次に

給付対象を「 18 歳以下の子ども」に絞るという点については、いわゆる「子育て支援」が目的ならば制度として運用されている「児童手当」への臨時の割増などで対応すべきで、特別に新たな施策を適用する必要はないような気がしますし、仮に「今回の新型コロナウイルス対策で疲弊した家庭への支援のため」という側面を重視した給付であるならば国民全体に給付すべきだと思います。

直接的にはサービス業界に従事する方々が大きな影響を受けたと思いますが、サービス業界には様々なサービス業がありそれらの仕事では互いにネットワークが形成されていますし、またその業界に関連する業界(農業・漁業・生産業など)にもその影響は波及しており一概に線引することは不可能なような気がするからです。

また

国民全体に給付されれば国民個々がその給付金を様々な関係者の支援へと広げる可能性も否定できないという考え方もあるのではないでしょうか。

他にも「現金に加えてポイント付与」ということも言われていますが、これについては全て現金で良いと思っています。

つまり

「現金にすると利用されないで預金に回る」という考え方があるようですがたとえポイントを付与したとしても預金する方はそうすると思います。

通常月に 10 万円を買物に使うと仮定した場合に、そこに 10 万円の現金が給付された場合と 5 万円+ 5 万円分のポイントが給付された場合と考えてみますと、通常と同じ買物しかしない人は、10 万円の現金給付の場合は本来の 10 万円が全て給付金で賄われるだけですし、5 万円+ 5 万円分のポイント給付の場合は同様に本来の 10 万円が 5 万円の現金と 5 万円分のポイントで賄われるだけです。

共に本来の 10 万円は預金に回るということになります。

つまり

通常と同じ買物しかしない方は 5 万円分がポイントだからと言って 10 万円の現金の他に 5 万円分のポイントも使うという考え方には無理があります。

5 万円の現金が 5 万円のポイントに置き換わるだけなので、それなら最初から現金で給付した方がややこしくなくて良いと思われます。

今回は

給付金というものを通して考えてみましたが、その結果、政府の「あやふやな対応」が露呈したようにも思えました。

全ての施策に対しもっと明確な基準や目的が設定されなければこの政権は「迷走」を免れないような気がします。

新型コロナウイルス対策では「広く検査して無症状の感染者を含めて感染者は予め隔離する」ことにより「非感染者だけで社会活動を回す」という大方針に基づくべきだったと思いますが、結局は症状の現れた方々の周辺のみを検査してその他の感染者は自由に活動させたことにより感染者の発症がだらだらと長期に渡って続き、そのような状況が報道されるたびに利用者の自粛が強まり、結果的に飲食店などのサービス業の方々は 2 年近くも抜本的な対策なしに放って置かれた(?)と言っても過言ではないような気がします。

その他

エネルギー政策(原子力発電の問題など)にしても少子化政策にしても、格差社会政策、経済刺激策など多くの問題が解決されずにこん日を迎えていますが、現実の生活者として「今の自民党政権には抜本的な対応を行う能力がない(だからただ「迷走」を続けている)のではないか」という思いを抱いている国民も少なくはないのではないでしょうか。

かって 1 日本の首相を務められた「田中角栄」さんが仮に現政権を担っていたとしたら、(良否をひっくるめて)もっとメリハリのある違った社会になっているような気がしますが、いかがでしょうか。