コロナと五輪でボロ儲けのカラクリ

『コロナ禍に前年比1000%増――。パソナグループの最終利益が波紋を広げている。』とのことです。


 

コロナ禍に前年比1000%増――。パソナグループの最終利益が波紋を広げている。今年5月期の通期連結業績予想を上方修正。純利益は62億円と、前年の5億9400万円から実に942.3%アップ、約10倍増となる見込みだ。

大幅に利益を伸ばした事業は、官公庁や企業から業務プロセスの全てを請け負う「BPOサービス」。この中には政府から巨額で請け負ったコロナ対策関連事業も含まれるとみられる。

例えば昨年の「持続化給付金」事業だ。パソナが設立時から電通などと共に関与した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」が、まず769億円で受託。749億円で再委託された電通が子会社5社に流し、さらにパソナやトランスコスモスなどに計417億円で外注――と、血税“中抜き”は猛批判を浴びたが、とりわけパソナの受注費は約170億円と際立って多かった。

五輪関連事業でも「特権」を与えられている。大会組織委員会と「オフィシャルサポーター」契約を締結。先月26日の衆院文科委員会で「人材派遣サービスはパソナしか許されていない。43(の競技)会場の派遣スタッフを頼むときはパソナに(仕事を)出さなくてはいけない契約になっている」(立憲民主党・斉木武志議員)と、事実上の独占状態なのだ。

【日刊ゲンダイDIGITAL 配信】

記事では

更に次のように続けられています。

『究極の買い手市場だからか、国会審議では“ピンハネ”疑惑も浮上。パソナの五輪有償スタッフの募集要項によると、時給は1650円(深夜時間帯は125%の割増賃金)、日給にすれば約1万2000円程度だ。ところが、組織委と委託先の広告代理店との契約書や内訳書には人件費の1日単価は35万円、管理費・経費を含めると日当45万円と出てくるという。』

『ピンハネ率は97%。代理店からの独占委託で利益が転がり込めば、儲かるのも納得だ。コロナ不況で早期・希望退職を募る企業も増加。再就職支援事業も「好調」というから、まさに「人の不幸は蜜の味」だ。』

詳しいことは

分かりませんが、代理店からは独占的な委託を受けることができ、更にその費用は1日単価が35万円(管理費・経費を含めると日当45万円)であり、また実際のスタッフの募集要項では日給約1万2000円程度ということで、とんでもない金額が手元(会社)に残る計算になります。

このような仕組みがなぜ認められているのか不明ですが、そこに納得できる理由があるのなら是非公開していただきたいと思います。

大会組織委員会の

主な収入はスポンサーからのお金やチケット売上金のようですが東京都が負担するものもあるようですし、また大会経費全体で考えると『実際の負担額は組織委が7060億円、都が7170億円、国が2210億円に膨らんだ。』というデータも公開されています。

つまり公的な資金も相当程度支出されているのですから資金の流れについては透明性が求められるものと思われますし、当然国も東京都も今回伝えられている仕組みを了承しているものと思われますが、そのことについての見解を明らかにしていただきたいと思います。

それにしても

人材派遣業という職業にはどんな社会的な意義があるのでしょうか。

何となく人間を一つの商品として貸し出す仕組みの担い手のようなイメージが思い浮かびますが、その意味では利用する会社にはそれなりの便利さがあっても、商品として登録している人間には不安定極まりない状況をもたらす仕組みのような気がします。

本来なら

雇用主である会社は社員の生活に責任を持つ義務があるように思いますが、この派遣業の会社は派遣する登録社員の生活に責任を持つような制度になっているのでしょうか。

たとえば登録している人達が次第に年齢を経てきたときにはその年齢に応じた勤め方へとシフトさせたり、病気や怪我をしたときには収入を保障したり、仕事がないときでも何らかの形で給与を払い続けたりといった仕組みになっているのでしょうか。

もし

単に働ける場合は仕事を紹介し、働けなくなったらそれまでというのでしたら人間を消耗品のように扱うことでしかないような気がしますし、そのような仕組みが社会的な仕組みとして定着しているとしたらこれほど不幸なことはないのではないでしょうか。

いわゆる非正規社員という言葉があり、今回のコロナ感染のようにサービス業などの派遣先企業が打撃をうけた場合にはすぐに雇い止めになるなどの乱暴な扱いを受ける存在として報道でもクローズアップされていますが、これが実態であるならば派遣元企業というものの在り方には大いに疑問が残ると言わざるを得ません。

そもそも

非正規社員が増えたは労働者派遣法の改正(改悪?)によるものと思われますが、それは1985年の中曽根内閣から徐々に始められ、2003年の小泉内閣の時に例外扱いで禁止だった製造業にも適用されたことで大きな影響を及ぼすものとなっていったと言っても過言ではないと思います。

ある記事には『2004年に小泉純一郎首相が竹中平蔵内閣府特命担当大臣と共に同法を改正。これによって派遣労働者が2000年の約33万人から2008年には約140万人に増加し、大量の非正規雇用者を生み出し、格差が拡大しました。』という記載も見られますが、そこに現在パソナグループの会長である竹中氏の名前が記されているのを見て何か一貫した姿勢のようなものを感じる人も少なくはないのではないでしょうか。

日本という

資源の少ない小国が経済的に発展を遂げられたのは間違いなく人の力であり、それを支えたのは正規雇用という制度であることに異論はないものと思われます。

その日本が誇る正規社員を中心とした雇用制度が、「辞めさせたい時に辞めてもらう」という労働流動性を高めたい企業の希望もあってか、無残にも変質を遂げた今になって思うことは「異常なまでの人材の軽視がまん延しているのでは」という思いです。

企業と経営者(株主)が

大いに豊かになり、働く国民が疲弊していく道が本当に日本という国にとって目指す道なのでしょうか。

今回の報道を契機にもう一度真剣に考えてみる必要があると思いますが、いかがでしょうか。

 

参考情報: