97歳の元学術会議会員がSNS発信

『日本学術会議の会員候補6人が任命されなかった問題をめぐり、97歳の元会員がSNSで、政府の対応を疑問視する投稿を続けている。』とのことです。


 

日本学術会議の会員候補6人が任命されなかった問題をめぐり、97歳の元会員がSNSで、政府の対応を疑問視する投稿を続けている。「国と学術界は正しい距離を保つべきだ」。そう語る心のうちには、自身も研究者として知らず知らずのうちに戦争に協力してしまったとの反省と、現状への強い危機感がある。

「そもそも学術会議は、前の戦争の時、科学者・技術者が軍に協力したことを反省し、二度と科学を戦争には使わせないことを誓ってつくられたものだ。今回の政府による会員の任命拒否は、日本学術会議の根幹にかかわることで、絶対に認めることはできない」

元気象庁気象研究所職員の増田善信さん(97)は今月6日、フェイスブックにこう投稿した。1千回以上シェアされ、賛同するコメントが相次いだ。ツイッターでも政府の対応を批判した。退官してから35年以上が経つが、声を上げずにはいられなかった。

【朝日新聞デジタル 配信】

学術会議の

会員候補6人を任命しなかったことが問題視され、それをきっかけに学術会議そのものの必要性についての議論も活発化しているようです。

今回の報道では「学術会議は二度と科学を戦争には使わせないことを誓ってつくられた」という元会員の指摘が取り上げられていますが、このことについて少し考えてみたいと思います。

このことを考える際の

一つの論点として「科学(技術)を戦争と切り離すことは可能なのか」という論点と、もう一つ「戦争はなぜ起こるのか」という論点を設定したいと思います。

まず初めの論点についてですが、科学(技術)というものは一見戦争とは無関係に見えても、それを応用して戦争に用いるという可能性があるので、戦争利用をゼロにすることはできないものと思われます。

たとえば

ダイナマイト技術は土木工事に欠かせないものですが、これを戦争に応用されることを防止する手立てはありません。

核技術も発電技術として用いられてきましたが、核爆弾に応用されることを防止する手立てはありません。

つまり技術自体を研究する限り、多くの多様性を見出すことは当然の結果であり、唯一戦争に使われないためには「研究を行わないこと」ということになります。

勿論、

積極的に戦争に応用することを抑えることは可能だと思いますが、その技術を究明すればするほど応用範囲も広がるということを考えるなら、戦争への応用を抑えるためにはどこかで技術の究明を抑えることになるものと思われます。

つまり本来の科学(技術)の究明を使命とする科学者にとっては、「ではどの辺で究明を止めるのか」という難しい問題に直面することになります。

たとえば

科学者がその分野での究明をどこかで停止しても、それらの結果を受け継いで、軍人やビジネス関係者が応用研究を進める可能性は高く、その意味では「どこで究明を停止しても、そこからの応用が別の関係者によって引き継がれる」という可能性がある限り、科学者による究明の停止という問題は恐らく永遠の課題になるような気がします。

極端に言えば、医学者による薬剤研究の結果で毒薬が生まれますし、IT技術者のネットワーク技術研究の結果でサイバー攻撃(情報強奪)が生まれますので、いくら科学(技術)者がどこかで究明を停止しても、それまでの研究結果が残されている限り、悪事に加担する結果を防止することはできません。

このように考えると戦争への応用を回避するのは科学者の役割ではなく、政治家の役割だと思います。

次に

二つ目の論点の「戦争はなぜ起こるのか」ということについてですが、これは国同士の利害関係の衝突に起因するものと思われます。

その一番大きな問題が領土(領海)問題であり、次に貿易(経済摩擦)問題が挙げられると思いますが、つまりは「自国にとっての利益が他国にとっての損害となる」という関係が大きくなればなるほど戦争の危険性が高まるものと思われます。

結局、各国の利害調整を平和的に行うには地球規模の権力が必要であり、いわゆる国際連合のような機関が軍事力行使を含めて公正に運営される必要がありますが、現在のような大国の拒否権行使という制度があってはせっかくの権力も行使できないことになります。

全ての国々が

民主国家であるならその国における多くの国民の善意を期待できますが、いわゆる独裁国家と呼ばれる国民を代表していない独裁党(者)の国家も存在しますので、それらの国による独善行動の危険性は少なからず存在するものと思われます。

日本における領土問題と言えば「尖閣諸島」の問題がありますが、この周辺海域への中国公船の侵入行為が繰り返されており、軍事衝突の危険性をはらんでいると言っても過言ではないと思います。

仮に多くの中国国民がそれを望んでいないとしても、共産党という一党独裁国家ですからその内部での方針により無理やり挑発行為が行われることがあるため、「通常の外交関係とは異なる対応が求められる」という見方もあるようです。

報道での

「学術会議は二度と科学を戦争には使わせないことを誓ってつくられた」という元会員の指摘からいろいろと考えてみましたが、結局は戦争という状態を避けるには「まともな国際機関」が必要であり、それがない今は(特に日本は大国となった独裁国家と隣接しており)領土問題などでの紛争の可能性も否定できない限り、軍事力の強化の必要性は高まる一方だと思います。

侵略の為ではなく侵略されないために(自由と平和を維持するために)軍事力を強化する必要性が高まっているとすれば「科学技術の軍事面における応用を否定することは無責任な考え方」という意見も理解できるのではないでしょうか。

いずれにしても

科学(技術)の究明はどんどん進められるべきで、それを軍事に応用するかどうかは学術会議で判断するものではなく、政治が各国の動向を見て判断すべきものだと思います。

特に大国としての独裁国家が強大な軍事力を背景に挑発行為を繰り返しているとするならば、自由や平和を享受すためにも、単に米国に頼むだけの姿勢では無責任だと思います。

日本が

軍事独裁国家であった頃に科学(技術)が軍事に応用されましたが、それを反省するのであれば、単に軍事に応用されたことに対してではなく、軍事独裁国家の軍事に応用されたこと対して行われるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

「学術会議」関係には他にも多くの記事が見受けられます。
以下の記事も参考にしてください。

 

参考情報: