京大特定教授らが発表 国民集団免疫説
『京都大学大学院医学研究科の上久保靖彦特定教授と、吉備国際大学(岡山県)の高橋淳教授らの研究グループによると、「実は日本人には新型コロナウイルスの免疫があった」』という発表がありました。 |
新型コロナウイルスの感染拡大で、一時は日本も医療崩壊の危機に見舞われた。だが、日本が「不幸中の幸い」だったのは、世界各国に比べて死者数が大幅に抑え込めたことだ。京都大学大学院医学研究科の上久保靖彦特定教授と、吉備国際大学(岡山県)の高橋淳教授らの研究グループによると、「実は日本人には新型コロナウイルスの免疫があった」という——。
実は、インフルエンザに感染すると、新型コロナウイルスに感染しなくなる。逆もしかりである。これをウイルス競合、あるいはウイルス干渉と呼ぶ。先駆け(sakigake,S)であるS型は、無症候性も多い弱毒ウイルスなので、インフルエンザに対するウイルス干渉も弱かった。S型から変異したK型は、無症候性〜軽症で、中国における感染症サーベイランスでは感知されず蔓延したが、日本のインフルエンザ流行曲線が大きく欠ける(kakeru,K)ほど、K型ウイルスの流入が認められたという。
武漢においてさらに変異した武漢G型(typeG,global)は、さらに重症の肺炎を起こすため、中国の感染症サーベイランスが感知し、1月23日に武漢は閉鎖された(武漢市長によるとむしろ閉鎖により約500万人が市街に流出したともいう)。一方、上海で変異したG型は、最初にイタリアに広がり、その後ヨーロッパ全体と米国で流行した(欧米G型)。
実は、S型に対する免疫はG型の感染を予防する能力が乏しく、さらに、S型への抗体には抗体依存性免疫増強(ADE)効果があることが推測されている。
抗体依存性免疫増強(ADE)効果とは、抗体の助けを得てウイルスが爆発的に細胞に感染していく現象のことである。ADEが起きている間、ウイルスは細胞内に入っていき、血中からは減るので、一見病状が改善したような状態がしばらくは続く。しかし、ある時点でウイルスが細胞を破裂させるかのように大量に出てきて、患者の急変が起こる。
この「S型への抗体によるADE」と、前述した「K型への細胞性免疫による感染予防が起こらなかったこと」の2つの理由により、欧米ではG型感染の重症化が起こり、致死率が上がったというわけだ。
【文春オンライン 配信】
この発表では
主に次の三つのことが述べられています。
一つ目は今回の新型コロナウィルスにはS型、K型、G型の3種類あり、S型は弱毒で、K型は無症候性~軽症で、G型は重症の肺炎を起こす。
二つ目はK型に対する免疫はG型の感染を予防する能力があるが、S型に対する免疫はG型の感染を予防する能力が低く、またADE効果 1 がある。
三つ目は日本では初めにS型に感染し、その後でそれから変異したK型に感染した人は多かったが、欧米ではS型に感染した後、K型に感染した人は少なかった。
つまり
その後共にG型に感染することになりますが、K型に感染していた日本人の多くはG型への免疫ができていたのに対し、K型に感染していなかった欧米人の多くはG型への免疫ができていなかったことに加えて、S型への抗体にはADE効果があったことが重症化と致死率の増加を招いた、ということになるようです。
今回の新型コロナウィルスの感染では、欧米とアジアでの致死率にかなりの差があり、その理由については「多くの人の関心事」と言っても過言ではないと思いますが、その答えの一つとして、今回この仮説が提示されたものと思われます。
日本と
欧米との比較で言えば、肌のふれあいが少ない生活習慣やダイヤモンドプリンセス号による警戒心の高まりなどにより、「初期感染者の拡大を防ぐことができた」ということも言えると思いますが、今回のこの発表も大いに興味を惹かれるものだと思います。
報道の中には「日本における新型コロナへの対応がうまくいっている」というものも見られますが、この評価は明らかに間違いだと思います。
政府の「後出し政策」により必要な資金の提供がなく、自治体も医療機関も中小零細企業もみんな素手で戦ったということに過ぎません。
そして国民は十分な検査も受けられず、「3密を避ける」という、いわば手探り状態の生活を強いられています。
その意味では、
少ない致死率と言われますが、その中には本来なら助かっていたであろう人も少なくはないものと思われます。
もし欧米のような感染爆発が起きていたら、日本の施策では欧米よりははるかに甚大な被害がもたらされたと言っても、あながち間違いとは言えないような気がします。
新型コロナウィルスによる感染症も、今の所、峠を越えた感が強いですが、抗体を持っている人が少なければ、第2波に備える必要がありますので、今のうち、早急な資金提供のもとで、検査体制の強化や、医療物資の生産・手配、弱者への救済制度の確立などが図られるべきだと思います。
政府の対応につきましてはこれからも注視していきたいと思います。
参考情報:
- 日本の「生ぬるい」新型コロナ対応がうまくいっている不思議
- 新型コロナウイルスの「第2波」は訪れるの? 医師が解説します。 [※この記事は削除されました]