遠紫外線ランプがウイルスを消毒

『既存の紫外線ランプで生成される紫外線C波の波長は約254ナノメートルである一方、遠紫外線C波は205〜230ナノメートルと短いため、ヒトの細胞に到達せず、人体に害を及ぼさないが、空気中や物体の表面にある細菌やウイルスには浸透し、消毒できると考えられている。』とのことです。


 

<コロンビア大学の研究チームは、屋内の公共スペースで人体に害をもたらすことなく細菌やウイルスを効果的に消毒する手段として「遠紫外線C波」の研究を進めてきた……>

紫外線は、波長によって、315〜400ナノメートルの紫外線A波(UV-A)、280〜315ナノメートルの紫外線B波(UA-B)、100〜280ナノメートルの紫外線C波(UV-C)に分類される。なかでも、紫外線C波は、細菌やウイルス、カビの消毒に高い効果があり、この波長を人工的に生成する紫外線ランプは、医療や食品加工などの分野で広く用いられてきた。しかしながら、紫外線C波は皮膚がんや白内障をもたらすなど、人体への有害性が高いため、人が立ち入らない場所でしか使用できないという制約がある。

人体に害を及ぼさないが、細菌やウイルスを消毒できる

米コロンビア大学放射線研究センターの研究チームは、屋内の公共スペースで人体に害をもたらすことなく細菌やウイルスを効果的に消毒する手段として「遠紫外線C波」に着目し、研究に取り組んできた。現在、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する遠紫外線C波の効果について検証をすすめている。

既存の紫外線ランプで生成される紫外線C波の波長は約254ナノメートルである一方、遠紫外線C波は205〜230ナノメートルと短いため、ヒトの細胞に到達せず、人体に害を及ぼさないが、空気中や物体の表面にある細菌やウイルスには浸透し、消毒できると考えられている。

研究チームは、これまでの研究成果において、207ナノメートルの遠紫外線C波が薬剤耐性菌のひとつ「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)」を効果的に消毒し、マウスの皮膚に照射しても害をもたらすことはないことを示した。2018年には「222ナノメートルの遠紫外線C波がH1N1亜型インフルエンザウイルスのエアロゾルを効果的に不活化させた」との研究論文も発表している。

【Newsweek 配信】

以前にも

紹介したことがあったと思いますが、この遠紫外線C波の効果には大いに期待したいと思います。

紫外線C波の波長 1 よりも短い遠紫外線C波 2 であれば『ヒトの細胞に到達せず、人体に害を及ぼさないが、空気中や物体の表面にある細菌やウイルスには浸透し、消毒できると考えられている。』とのことで、今回の新型コロナウィルスの特徴の中でも一番やっかいな「エアロゾル感染の可能性」を回避できるとすれば、いわゆる3密の煩わしさからも解放されることになります。

細かいことは分かりませんが、手の消毒などにも使えるような装置に進化することも不可能ではないような気がしますし、またこれは今回の新型コロナウィルスだけではなく、今後発生するかも知れない異なるウイルスへの効果も期待できるものと思われます。

一般的には

『紫外線の強さは緯度と反比例しますから、赤道直下の国々が最強です。最弱は極地の国々です。 3 』というコメントにもみられるように、地球上での強弱があるとのことで、想像を膨らませて、「今回の新型コロナウィルスの各国での感染者数の違いは、この紫外線分布と何らかの関係があるのでは」という仮説を唱えたとしても、必ずしも「筋違いな仮説」と切り捨てられることはないような気がします。

ウイルスといえばワクチンの開発ということが一般的ですが、このような殺菌装置の開発にも今後は注目していきたいと思います。

参考情報: