コロナワクチン、1年~1年半先?

『ウイルスそのものを使うと、臨床試験の開始までに1~2年かかるが、DNAだと半年、この粒子の場合は半年から1年に短くできるという。』とのコロナワクチンに関する報道がありました。


掲載日:2020年4月30日

 

世界の感染者が300万人を突破し、新型コロナウイルスの猛威はおさまらない。期待が集まるのは、感染や重症化を防ぐためのワクチンだ。新たな技術も使い、国内外の製薬会社や研究機関が開発に乗り出している。実際にワクチンを接種できる日はいつ、やってくるのか。

「ワクチンがあるかどうか次第だ」。英BBCは、来夏に延期になった東京五輪・パラリンピックについて、ワクチンが開発されないと、「開催は非現実的」とする英エディンバラ大の公衆衛生の専門家の話を伝えた。「1年から1年半先になると思っていたが、もっと早く実現するかもしれないという情報もある」との期待も示した。

世界保健機関(WHO)が公表している開発リストによると、4月26日時点で米中などのバイオ企業や研究機関のワクチン候補七つで臨床試験(治験)が始まっている。ほかにも世界中で82の候補があげられている。

WHOのテドロス・アダノム事務局長は3月末、会見でワクチン開発には「12~18カ月かかる」と述べた。通常、ワクチン開発には数年以上かかるとされる。それよりも早い実用化の可能性があるのは、ウイルスの「遺伝情報」や、遺伝子組み換え技術を使う新しいタイプのワクチン開発への期待が大きいからだ。

一方、遺伝情報などを使う場合はウイルスそのものを使わずに済み、開発期間を大幅に短縮できると期待されている。

米国内で臨床試験を始めたのが、米国立保健研究所(NIH)。米バイオ企業「モデルナ」と共同開発するワクチンは、遺伝情報を伝える「メッセンジャーRNA(mRNA)」という物質を使う。市販までに少なくとも1年~1年半かかる見通しだが、今秋には医療従事者らに使える可能性があるという。

英オックスフォード大は4月23日、遺伝子組み換え技術を使ったワクチンの治験を始めた。協力者を募集する国営の国民保健サービス(NHS)によると、18~55歳の健康な最大1100人超を募る。早ければ今年9月にも有効性の結果が出る。開発チームのサラ・ギルバート教授は英紙タイムズに「動物実験の結果が出始めたばかりだが、これまでのところうまくいっている」と語った。英政府は21日、2千万ポンド(約27億円)の追加支援を発表した。

国内でも、大阪大と阪大発の創薬ベンチャー「アンジェス」(大阪)は、ウイルスの一部をつくるDNAを使った「DNAワクチン」の開発に着手し、動物実験を始めた。阪大はウイルスを覆う「殻」を再現した粒子を使う方法でも開発を急ぐ。

ウイルスそのものを使うと、臨床試験の開始までに1~2年かかるが、DNAだと半年、この粒子の場合は半年から1年に短くできるという。阪大はウイルスそのものを使う従来の方法でも研究を進める。金田安史理事(遺伝子治療学)は「どれが効果を示すかは治験でないと分からない。そのために1の矢、2の矢、3の矢を撃つ」と話す。

【朝日新聞デジタル 配信】

コロナワクチンに

ついての報道がありましたが、その中では『阪大はウイルスを覆う「殻」を再現した粒子を使う方法でも開発を急ぐ。』との記事があり、この粒子を使う方法だと『半年から1年に短くできる』ということで、大いに期待が持てそうです。

他にも『米製薬大手ファイザーは5日、新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験を米国で開始したと発表した。ニューヨーク・タイムズ紙電子版は、9月にも食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可を得ることを目指していると報じた。』との報道もあり、各国による開発が急ピッチで行われているようです。

詳しくはこちらを参照方↓

掲載日:2020年5月6日

 

ワクチンというのは

「感染症を起こさないように処理されたウイルスを、健康な人に注射して体内に抗体をつくらせる」ということで、いわゆる予防接種ということになりますが、抗体そのものを静脈注射する「血漿療法」というものもあるそうです。

他にも『北里研究所は7日、北里大学・Epsilon Molecular Engineering(EME)・花王の研究グループが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して感染抑制能(中和能)を有するVHH 抗体の取得に成功したと発表した。北里研究所では「今回の成果は新型コロナウイルスの治療薬や検査薬の開発につながることが期待できる。』という報道がありましたが、こちらも同様の治療法(?)に分類できるのかも知れません。

近年

科学技術や産業技術の分野に限らず、医学技術の分野でも日々凄まじい勢いで新しい発見が行われているものと思われますので、従来の完成までのプロセスとは異なる形での開発も十分あり得ると思います。

新型コロナウィルスの収束という意味では、『感染の鎮静化には、集団の6割程度が抗体保有者になることが必要』と言われていますので、やはり多くの人々が抗体を持たなければならず、そのためにはワクチンによる抗体形成や、あるいは直接抗体を注入するなど、最終的にはいわゆる抗体に関する技術の確立ということに尽きるようです。

関係者の皆様のご尽力に期待したいと思います。

参考情報: