日本発「新型コロナ予防ワクチン」

次のような報道がありました。『3月5日、「予防ワクチンについて」と題する記者説明会の案内メールがメディアに一斉送信された。大阪大学の森下竜一教授(臨床遺伝子治療学)とバイオ製薬企業のアンジェスがタッグを組み、「新型コロナウイルスの予防ワクチン開発に着手する」という。ワクチンの構築・製造は、宝ホールディングスの子会社であるタカラバイオが協力し、担当する。』


 

発生から3ヵ月ほどが経過した新型コロナウイルス感染症。死亡率が低めだが、経済的な破壊力は凄まじく、予防ワクチンと治療薬の一刻も早い開発と供給が世界中で待望されている。

3月5日、「予防ワクチンについて」と題する記者説明会の案内メールがメディアに一斉送信された。大阪大学の森下竜一教授(臨床遺伝子治療学)とバイオ製薬企業のアンジェスがタッグを組み、「新型コロナウイルスの予防ワクチン開発に着手する」という。ワクチンの構築・製造は、宝ホールディングスの子会社であるタカラバイオが協力し、担当する。

一般的には「1つのくすりを開発する期間は、9~17年」(日本製薬工業協会のHPより)を要するのが当たり前なところ、最短6ヵ月で臨床試験ができる見通しだという。常識破りのスピードが可能なのは、今回開発をめざすワクチンが、遺伝子を構成するデオキシリボ核酸(DNA)という物質でできたDNAワクチンだからだ。

DNAワクチンの最大の特徴は安全性だ。通常のワクチンは「弱毒化ワクチン」といって、感染力を失わせた病原体(ウイルスなど)や、抗原となるたんぱく質そのものを投与して免疫反応を誘導する。対してDNAワクチンは、病原体を構成するたんぱく質の設計図(DNA)を投与し、免疫反応を誘導して作り出す抗体によって、感染したウイルスを排除できるようにする。

この方法ならば、製造工程で病原体を一切使用しないため、安全なワクチンを製造できるし、他のワクチン製造法に比べても、極めて短期間に製造・供給でき、しかも安価に作れるという。
 
森下教授は既に厚労省や国立感染症研究所の協力を得て、新型コロナウイルス(COVID-19)の「Sたんぱく質」と呼ばれるたんぱく質の遺伝子情報を入手。「DNAワクチンのデザイン(設計)は終了しており、タカラバイオの製造施設で製造に入っている。早ければ8週間以内にワクチンを製造し、動物実験を経て半年後には臨床試験に入りたい」(森下教授)などと語った。

Sたんぱく質に対しては抗体ができにくいという報告もあるため、報道陣からは「ワクチン開発の成功率はどれくらいか」との質問が寄せられたが、森下教授は「通常2回接種するところを、3回、4回と接種回数を増やせば抗体を誘導できる可能性がある」と返答し、自信を示した。

【現代ビジネス 配信】

新型コロナワクチンに

関してはこちらでも報道がありました。


 

こちらの報道は「ワクチン候補を評価する初のヒト臨床試験が始まった」との報道で、その中には「ワクチンが利用可能になるまでには1年~1年半かかるとの見通しを示している。」との記述がみられます。

今回(掲題)の報道では

開発を目指している予防ワクチンは「DNAワクチン」とのことで、通常のワクチンとの違いが示されています。

それによりますと『通常のワクチン(弱毒化ワクチン)は、感染力を失わせた病原体(ウイルスなど)や、抗原となるたんぱく質そのものを投与して免疫反応を誘導するのに対して、DNAワクチンは、病原体を構成するたんぱく質の設計図(DNA)を投与し、免疫反応を誘導して作り出す抗体によって、感染したウイルスを排除できるようにする』ということのようです。

ちなみに

通常のワクチンには「病原体となるウイルスや細菌の毒性を弱めて病原性をなくしたものを原材料として作られる」生ワクチンと「病原体となるウイルスや細菌の感染する能力を失わせた(不活化、殺菌)ものを原材料として作られる」不活化ワクチンがあるそうです。

つまり通常のワクチンもDNAワクチンも免疫反応を誘導して抗体をつくることでウイルスを排除できるようにするという点では同じですが、免疫反応を誘導する方法に違いがあり、通常のワクチンでは抗原となるたんぱく質そのものを投与するのに対して、DNAワクチンでは抗原となるたんぱく質のDNA(設計図)を投与するそうです。

しかし

この違い(製造工程で病原体を一切使用しない)のため、、「安全なワクチンが製造でき、また他のワクチン製造法に比べても、極めて短期間に製造・供給でき、しかも安価に作れる」という利点があるそうです。

「早ければ8週間以内にワクチンを製造し、動物実験を経て半年後には臨床試験に入りたい」ということで、少し希望の光が見えてきたような気がしますが、このようなワクチンの開発は世界中で緊急の課題となっていますので、さらに加速的に行われていくものと思われます。

関係者の尽力とその結果に大いに期待したいと思います。