いよいよ禁止「マスク転売」への怒りの声

『政府は3月5日、国民生活安定緊急措置法を適用し、インターネット上などでの転売を禁止し、刑事罰を科すとの考えを示しました。』が、この転売については賛否両論あるようです。


 

政府は3月5日、国民生活安定緊急措置法を適用し、インターネット上などでの転売を禁止し、刑事罰を科すとの考えを示しました。日本では現在、深刻なマスク不足が続いていますが、これによりマスク不足は解消されるのかはわからないものの、胸をなでおろす人もいるかもしれません。

中国での新型コロナの感染拡大が報じられて以後、ネットでは実際の販売価格の数倍以上の価格で売られるようになりました。転売目的での購入も数多くあったとみられ、弁護士ドットコムには、息子が高校受験を控えているのにマスクを入手できない女性から、怒りの声が寄せられました。

この女性の声を記事で紹介したところ、たくさんの反響がありました。その後、マスクだけでなく、トイレットペーパーや除菌用ジェルまで買い占めや転売の標的になるなど、状況は悪化の一途をたどっています。

転売に対して人々にはそれぞれ思うところがあるようです。寄せられたコメントの一部を紹介します。この母親のように転売を許せないという「転売否定派」が主流と思いきや、「転売肯定派」の声も同じかそれ以上に届きました。

【弁護士ドットコム 配信】

「転売」という言葉から

どんなことが想像できるでしょうか。

たとえばメーカーの作ったものをメーカーに代わって販売するのは転売と言えるのでしょうか。

「転売」の意味を調べると「一方から買った物を、更に他に売り渡すこと。」という説明がみられますが、つまりは自分で使うために買うのではなく、他の人に売るために買う、という行為を転売というようです。

上記の

メーカーに代わって販売するのは転売と言えるかも知れませんが、そのためにはメーカーが公に販売している場合という条件が付くような気がします。

結局メーカーが公に販売していないか、あるいは公に販売していても販売規模が小さい場合は、本来の転売という意味よりは販売協力という意味の方が強くなるものと思われます。

昔の問屋や小売という仕組みはこの販売協力という側面が強く、つまりは商品の流通を促進する働きを担うものだと思います。

しかし

今回の記事にあるような「マスクの転売」という場合は、販売協力というよりは販売阻害という側面が強いのではないでしょうか。

つまり販売の流れをせき止めて公の流通を阻害する側面が強く、その意味では商品の販売を阻害する働きを担うものだと思います。

本来なら

一般的な価格で買えるものを、一部で買い占めることにより購入価格を高騰させますが、そこで儲けがでれば買い占め時の価格をより一層つり上げることができますので、販売阻害の影響を一段と大きくするものと思われます。

商品の生産と流通の安定が消費者にとっての安心だとすれば、その意味では販売協力は善であり、販売阻害は悪ということになります。

人々は

収入を得て暮らしており、その意味では儲ける行為を否定するつもりはありませんが、儲ける前に多くの人々の役に立つという大前提があるべきだと考えます。

「転売」という行為により、本来の流通が一層阻害されるのであればそれは公共性を損なう迷惑行為の類であり、たとえそれで確実に商品を手に入れることができるとしても、それを容認すべきではないと思います。

昔から

独占禁止法という法律がありますが、この精神に則れば、「転売」という手段で価格をつり上げて販売を阻害する行為は、特に今のような感染症を防止しなければならない事態においては、なおさら悪質と言わざるを得ないと思われます。

「儲け」の前に「人々のため」という前提があることを、改めて考えてみる必要があるのではないでしょうか。