春闘本格化、連合と経団連トップ会談

『連合の神津里季生会長と経団連の中西宏明会長が二十八日、東京都内で会談、二〇二〇年春闘の攻防が本格化した』そうです。


 

連合の神津里季生(こうづりきお)会長と経団連の中西宏明会長が二十八日、東京都内で会談、二〇二〇年春闘の攻防が本格化した。中西会長は「ここ連続で続いているモメンタム(勢い)は大事だ」と強調、労使とも賃上げの必要性で一致した。一方、神津会長は「うねりは社会全体になっていない」として、中小企業で働く人たちや非正規労働者ら幅広い労働者が実感を得られる形の賃上げを求めた。今春闘は米中貿易摩擦などで景気の減速感が漂う中、ベースアップ(ベア)を含む賃上げを持続できるかどうかが焦点。組合側は二月中旬ごろに経営側に要求書を提出。三月中旬に大手の回答が集中するヤマ場を迎える。

会談で神津会長は「少子高齢化、人口減少に賃金の状況が輪を掛けて、日本全体がしぼんでしまっているのではないか」と指摘。中西会長は「これまでの日本の仕組みはかなり見直さないと駄目なところも出てきた」と述べ、年功序列、終身雇用を柱とする日本型雇用の見直しに言及した。

連合は今春闘で、基本給を引き上げるベアの要求水準を「2%程度」とし、定期昇給分の2%を加えた4%の賃上げを要求。また、各企業内における最低賃金の水準として時給千百円以上などと具体額を初めて打ち出し、格差是正も重視する。

経団連はベアも選択肢となり得るとしつつ、手当や賞与を含め、各社の事情に応じて賃上げを前向きに検討するよう呼び掛ける。ただ、ベアは全社員を対象とした引き上げだけでなく、若い世代や職務、成果に応じた配分が「現実的」ともしている。

【東京新聞 配信】

この記事を読んで

二つのことが頭をよぎりました。

一つは「企業の内部留保金」で、もう一つは「年功序列と終身雇用」です。

2019年9月2日に

財務省が法人企業統計について発表しましたが、それによりますと、『2018年度の内部留保(利益剰余金)が7年連続で過去最大を更新した。金融業・保険業を除く全産業ベースで、17年度と比べて3.7%増の463兆1308億円となった。』とのことです。

企業の内部留保金というのは最終的には企業に帰属しますが、その価値は企業に属する全員で生み出したものであり、当然一人ひとりの従業員やある意味では外注した企業の人達にもその成果を分け与えて然るべきものだと思います。

価値を創造し、

それを利用してこそ、次の新しい価値が生まれると考えるのが自然な考え方ではないでしょうか。

つまり創造した新し価値(内部留保金)はそれを消費することで、さらに多くの必要性(生産物への欲求)を生み出すので、その意味では内部留保金は多くの生産従事者に分配されるべきものと考えられます。

そうであるならば

政府は、内部留保金を一定割合で、従業員や外注関係者に還元するよう義務付ける法律を制定すべきだと思います。

たとえば「その年の内部留保金の30%は何らかの形で関係する人達に還元しなければならない(還元枠に蓄積する)」というような法律を作るべきです。

実際には

蓄積されている還元枠から、一定の割合で支給が行われることになると思いますが、逆に内部留保金を取り崩すような年には蓄積している還元枠から減額すれば良く、制度としては成立可能だと思います。

いわゆる企業買収というものが一般的となり、その対策としての内部留保金という方法が主流になっているような気がしますが、本来の価値創造を媒介した発展という意味での内部留保金の役割を見直す必要があるものと思われます。

現政権ができないのであれば野党がその法律制定を旗印に結束して国民に訴えるべきだと思います。

次に

「年功序列と終身雇用」についてですが、これらの制度は日本を弱小国から経済大国へと押し上げた重要な制度という側面があり、その点についての考察をもっと深めるべきだと考えます。

年功序列による給与制度は、従業員にとって、お金が必要となる年代にうまく適応させた制度だと思います。

たとえば新入社員の時は収入が低い時代が続き、結婚して家庭を持つ頃から高目になり、子育てが終わる頃にはまた下がっていくというライフサイクルに応じた制度となっているはずです。

終身雇用という制度は、

会社への信頼感を高めます。

「会社が守ってくれるから身を粉にして働く」という意識をもたらし、それは結果として労働意欲を高めます。

個人としての力よりも企業としての集団力を高める方向を共有できますので、たとえば自分の持っている技術を若い人達に細かく教えるようなことも自然と行われます。

もしこれが

個人個人の成果ということになれば、おそらく各技術者は自らの技術を他人に教えることなどはなくなっていくでしょうから、結果として企業全体の技術力は低下するに違いありません。

かって米国に脅威と言わしめた「集団パワー」の源泉こそがここにあるものと思います。

日本は

資源が少ない国であり、集団力(=技術力)こそが唯一の財産だと思います。

今は企業のグローバル化が進み、非民主主義的な国との交易も厭わない時代になっていますが、日本国としての集団力もまた分散させる傾向になっているようです。

それで良いのか、経営者も従業員も、そして国のかじを取る国会議員も、その点について良く良く考えを巡らせる必要があるものと思いますが、いかがでしょうか。