海底下のガス貯留層は温暖化の時限爆弾

『世界各地の海底下には、二酸化炭素(CO2)とメタンの大きな貯留層が、いくつも存在している。これらは、気候を大きく変えうる「時限爆弾」のようなものだ。』という報道がありました。


 

世界各地の海底下には、二酸化炭素(CO2)とメタンの大きな貯留層が、いくつも存在している。これらは、気候を大きく変えうる「時限爆弾」のようなものだ。

そして、導火線には火がついている。

海底では、CO2またはメタンを含んだ氷のような固体「ハイドレート」がふたとなって、強力な温室効果ガスを閉じ込め、海中や大気中に出ていくのを防いでいる。しかし、科学者によると、ハイドレートの一部は、周囲の海水温があと数度上がると解け出すという。

そうなると、非常にまずいことになる。二酸化炭素は、温室効果ガスの排出量の約4分の3を占めており、何千年も大気中にとどまる可能性がある。メタンは、大気中にとどまる期間は約12年とCO2よりも短いが、温室効果はCO2の何十倍も高い。

海洋は、人類が排出する二酸化炭素の3分の1を吸収する地球上最大の炭素吸い込み口だ。ところが海が温まってハイドレートのふたを解かすと、逆に海洋が炭素排出源になり、気候変動と海面上昇に重大な影響を与える恐れがある。

【National Geographic 配信】

記事は

さらに『深海でCO2貯留層が見つかっている一方で、科学者たちは12月、海水温が過去最高を記録し、世界が今、気候に関する多くの臨界点を超えつつあると警告した。』と続いています。

今年の台風19号による被害は甚大でしたが、この原因には「大量の水蒸気が流れ込んだ」との指摘もみられます。

地球温暖化により

極の氷が溶けているという報告もありますが、つまりはそれらが大量の水蒸気の原因の一つになっているとも考えられますが、いずれにしても温暖化による気象変動の影響が近年顕著になっていると言っても過言ではないと思われます。

地球上の生命の半分以上が姿を消す「大量絶滅」が過去5億年間に繰り返し起こってきたという指摘もみられますが、これに関しても「恐竜を滅ぼした白亜紀末の大量絶滅については小惑星衝突が原因と考えられているが、他の絶滅事象の原因には十分な説明がついていない」ということで、まだ十分な解明は行われていないようです。

そして

他の有力な原因の一つとして浮上しているのが温暖化による「硫化水素の大量放出説」です。

これは温暖化により極の海水温度が上昇し、本来なら冷たい水によって海底に届けられる酸素が届けられなくなり、それによって海底のバクテリア(硫酸還元菌)が大量に繁殖し、そのバクテリアによって大量の硫化水素が蓄積され、やがてそれが気体となって放出されることにより、植物も動物も大量に死滅するという考え方です。

硫酸塩が存在しかつ十分な酸素が供給されない環境(嫌気性環境)下では、硫酸塩還元菌による有機物分解が促進され、硫化水素を生み出されるそうですし、また硫化水素はわれわれ人間を含め多くの好気性生物(酸素を呼吸に使って有機物を酸化して生きる生物)にとっては酸素を阻害するために有毒と言われています。

更に

土壌中に硫化水素が溜まると植物の根を刺激し、養分吸収を妨げる働きをするとも言われていますので、つまりは動物も植物も生きてはいられなくなるということのようです。

報道の中でも『深海でCO2やメタンの貯留層を探すのは「干し草の山で針を探す」ようなものだ』という記述がありますが、海底下にどのくらいの貯留層があるのかは、地球的な規模からするとまだまだほとんど調査されていないに等しいようです。

ハイドレートが溶けてco2やメタンが大量に放出され、それにより海底に酸素が供給されなくなり、硫化水素が大量に蓄積されて水面から放出されるという最悪の事態が一つの可能性としてある訳ですが、その意味では地球温暖化について(その是正について)、もう少し真剣に取り組む必要があるのかも知れませんね。