抗がん剤の吐き気抑える新治療法

『抗がん剤治療に伴う吐き気や嘔吐(おうと)を抑える新たな治療法を、国立がん研究センターなどのグループが開発した。』そうです。


 

抗がん剤治療に伴う吐き気や嘔吐(おうと)を抑える新たな治療法を、国立がん研究センターなどのグループが開発した。抗精神病薬を使うと、これまで難しかった治療後2~5日目の嘔吐を持続的に抑える効果が認められたという。成果は12日付の英専門誌ランセット・オンコロジーに掲載される。

抗がん剤治療の後、半数以上の患者が吐き気や嘔吐を経験するという。数日にわたり車酔いのような状態が続く抗がん剤もある。副作用が強いと、決められた量の抗がん剤を使えなかったり、治療が続けられなくなったりすることもある。現在の標準的な「制吐療法」では、ステロイドや脳に作用して吐き気を止める薬を使う。だが点滴後2~5日目の吐き気を抑える効果が弱く、課題になっていた。

【朝日新聞デジタル 配信】

抗がん剤(化学療法や分子標的薬)による

がん治療により吐き気・嘔吐が引き起こされることはよく知られていますが、これは抗がん剤(化学療法や分子標的薬)によって脳の嘔吐中枢が刺激を受けることによるものだそうです。

この吐き気・嘔吐の症状が現れる時期は大きく3つに分けられるそうで、一つ目は「急性悪心(おしん)・嘔吐」と言われるもので、これは抗がん剤(化学療法や分子標的薬)開始後、数時間以内に現れ(もっとも強く症状が現れるのは5~6時間後)、24時間以内に症状がなくなるそうです。

二つ目は

「持続性あるいは遅発性悪心・嘔吐」と言われるもので、これは抗がん剤(化学療法や分子標的薬)を投与したあと、24時間以降に現れて、2~7日間続くそうです。

三つめは「予期性(心因性)悪心・嘔吐」と言われ、これは以前に抗がん剤(化学療法や分子標的薬)治療を受け、強い吐き気・嘔吐を経験した患者が、次に治療を受ける際、治療を開始する前からもよおす吐き気・嘔吐だそうです。

吐き気・嘔吐を引き起こす

リスクの高い抗がん剤(化学療法や分子標的薬)での治療を開始するにあたっては制吐剤を投与することも行われているそうですが、初回治療の時に吐き気・嘔吐を生じさせないことが予期性の吐き気・嘔吐の予防につながるとのことで、今回報道による新たな治療法はその意味においても、大変すばらしい治療法の開発だと思われます。

大脳皮質を介して嘔吐中枢が刺激されるということですが、その際引き金となるのが精神的要因と言われるもので、治療に伴う緊張や不安、不快なにおい・音・味覚などが挙げられています。

これらは

条件反射化がされやすいため、注意を要するそうで、個人差が強いのも特徴だそうです。

吐き気・嘔吐を生じやすい体質・要因としては、以下のようなものが挙げられています。

  • 若年である
  • 女性である
  • 副作用に対する不安が強い
  • 前の治療で強い吐き気があった
  • 乗り物酔いをしやすい
  • 妊娠時につわりがひどかった
  • モルヒネなど併用している薬剤の有無
  • アルコールの常用の有無

など

今回報道にあるようなより効果的な治療法が、今後どんどん採用されることを期待しながら、その進展を見守りたいと思います。