「いつの間にか骨折」が引き起こす脳梗塞
次のような報道がありました。 『若さと健康を保つため日々、体を動かしている中高年は多いだろう。しかし、むやみな運動はケガのもと。とくに「いつの間にか骨折」が始まる50代以上は注意したい。その原因は「骨粗しょう症」だが、まれに「脳梗塞」を引き起こすこともあるという。』 |
若さと健康を保つため日々、体を動かしている中高年は多いだろう。しかし、むやみな運動はケガのもと。とくに「いつの間にか骨折」が始まる50代以上は注意したい。その原因は「骨粗しょう症」だが、まれに「脳梗塞」を引き起こすこともあるという。日本整形外科学会認定専門医で「みずい整形外科」(東京・祐天寺)の水井睦院長に聞いた。
60代のAさんは先月久しぶりのゴルフで、スイングしたところ、強い痛みに襲われ、肩から右手にかけてしびれを感じるようになった。診断は椎体
骨折だった。
Aさんの場合は折れた骨の端が神経を圧迫してしびれが出たが、なかには「脂肪塞栓症候群」といって、傷ついた脊椎から脂肪滴が遊離して血液中に入り込み、全身の臓器の循環障害を生じ、脳梗塞の原因である「脳塞栓」や、肺動脈の詰まる「肺塞栓」を起こすこともある。
つぶれた椎体を放っておくと知らず知らずのうちに別の椎体に負担がかかり、2個、3個と骨折連鎖が起こるからだ。1つの椎体骨折が起きると1年以内に別の椎体骨折が起こるとの研究もある。
「すると背中が丸くなり、姿勢が前かがみになって胸が圧迫されて肺活量や食欲が低下する。加えて、骨折連鎖により慢性的な痛みが出てくると抑うつや睡眠障害も起こります。その結果、日常の活動量が減り、さらに骨が弱くなり、筋肉も落ちて体を支えられなくなって最終的には『寝たきり』になるリスクが高まります」
そもそも骨は骨を作る骨芽細胞と、骨を壊す破骨細胞が働いている。この2つの働きにより、骨は毎日少しずつ作り変わっている。年を取ると全体的な働きが弱まり、破骨細胞の働きが相対的に強くなるため、骨は徐々に弱くなっていく。
「骨を丈夫にするにはカルシウムが必要です。牛乳や乳製品、骨まで食べられる小魚や大豆や大豆を使った製品や葉物野菜に多く含まれるため、これらの食品を摂取することが大切です。ただし、それだけでは骨は強くなりません。小腸からの吸収を促進するビタミンD、吸収されたカルシウムが骨に取り込まれることを促進するビタミンKなどを同時に取る必要があります」
【日刊ゲンダイ ヘルスケア 配信】
椎体(背中の骨)は
24個の小さな骨でできているそうですが、報道でとりあげられたAさんはゴルフスイングでその椎体の一部を骨折し、折れた骨の端が神経を圧迫してしびれが出たとのことです。
『傷ついた脊椎から脂肪滴が遊離して血液中に入り込み、全身の臓器の循環障害を生じ、脳梗塞の原因である「脳塞栓」や、肺動脈の詰まる「肺塞栓」を起こすこともある(脂肪塞栓症候群)。』とのことでです。
結局は
「骨を作る骨芽細胞より、骨を壊す破骨細胞の働きが優位になる」ために骨が弱くなるとのことですが、この破骨細胞の働きを弱める注射があり、月に一度の注射により骨粗しょう症の予防ができるそうです。
骨を壊す働きを抑える薬には、「ビスホスホネート」、「デノスマブ」、「SERM(サーム)」があり、「ビスホスホネート」は飲み薬や注射、点滴などで処方されるとのことです。
いきなり
『「骨粗しょう症」から「脳梗塞」になることがある』と言われると驚きますが、『骨折部分から脂肪滴が遊離して血液中に入り込み、全身の臓器の循環障害を生じることもある』と聞けば、その可能性がないとは言い切れないようです。
骨密度を測定する機器は家庭用のものもいろいろありますし、医療機関では横になるだけで測定できる機器もあります。また血液検査でも分かるそうです。
筋肉が弱り、骨が弱り、老化による衰退が自立を妨げることになるようですが、高齢者になっても、何とか自分で立つことができれば、自立して生活することが可能ですので、面倒でも適度な運動を行い、食生活に気を配り、また予防医療への心構えを忘れずに日々を送ることが大切なようですね。