体内に「永遠の化学物質」の危険
『ファストフードが健康に良くない理由はこれまで数々挙げられてきたが、また新たな問題が加わった。「PFAS」と呼ばれる化学物質が、人体に蓄積されている可能性があるというのだ。』という報道がありました。 |
ファストフードが健康に良くない理由はこれまで数々挙げられてきたが、また新たな問題が加わった。「PFAS」と呼ばれる化学物質が、人体に蓄積されている可能性があるというのだ。
PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)とは、耐水性や耐火性を高めるため、一般的な家庭用品に大量に使用されているフッ素化合物の総称。「永遠に残る化学物質」として、近年、欧米で大きな問題になっている。
ファストフードを食べた人と手作りの料理を食べた人の血中PFAS濃度について調べた新たな論文が、10月9日付けで学術誌「Environmental Health Perspectives」に発表された。
2003年~2014年に1万人以上から採取した血液サンプル中のPFASを調べたところ、約70%の血液から広く使われている5種類のPFASが検出されたという。研究には、米国疾病予防管理センター(CDC)が定期的に更新する全国健康栄養調査(NHNES)のデータを用いた。
この調査データでは、過去24時間、1週間、1カ月の間に、どれくらいの頻度でファストフードを食べたかについても聞いているが、それらとPFAS濃度の関係を調べたところ、24時間以内にファストフードを食べた人は血中PFAS濃度が高い傾向にあることがわかった。
人体から速やかに排出される他の化学物質とは異なり、PFASは何年も残留するおそれがある。このため、定期的にファストフードを食べると、体内にPFASが蓄積されることになる。
どの程度の量で人の健康に悪影響が出始めるかは、まだ明らかになっていない。だが、PFASががんや甲状腺疾患、ホルモンの変化、体重増加に関連があることは、多くの研究によりわかっている。
米国のワシントン州とカリフォルニア州サンフランシスコ市では、食品容器へのPFASの使用を制限する法令が可決された。
【National Geographic 配信】
まだ詳しいことは分かっていないようですが、
PFASががんや甲状腺疾患、ホルモンの変化、体重増加に関連があることは、多くの研究により分かっているとのことです。
これが人体に蓄積されている可能性があるということなので、やはり注意すべき問題ではありますが、食品容器へのPFASの使用を制限することで蓄積が避けられるのであれば、早期に実施していただきたいと思います。
2019.02.14に、
アメリカ環境保護庁がパーフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物行動計画を発表しています。
以下にその内容を少し紹介したいと思います。
『アメリカ環境保護庁(EPA)は、「パーフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)行動計画」を発表した。有機フッ素化合物の1種のPFASは難分解性で生物蓄積性が高く、長年、健康影響が懸念されてきた。行動計画は、これまでのEPAの化学物質対策の中で最も総合的なもので、マルチメディア、マルチプログラム、情報収集、調査研究など多面的な方法を利用して、短期と長期の課題を特定し、省庁を横断し各州と先住民の社会等地域社会を網羅して安全な飲用水の確保と提供に取組むという。』
『計画では、今後の政策として、1)最大許容濃度の設定等の規制、2)州段階での規制の徹底を図るための法執行ツールの活用、3)PFASを未規制汚染監視規則のモニタリング対象に追加、汚染源特定のため有害化学物質排出目録制度(TRI)に掲載、4)飲用水中のPFAS処理技術を含め新たな検出・分析法の開発、5)啓発用ツールの作成、等をあげている。PFAS類のうち、パーフルオロオクタン酸(PFOA)とパーフルオロオクタンスルホン酸塩(PFOS)は、すでに国内での製造が中止されており、2019年末までに規制値に関する提案が公表される。』
日本における
PFOSとPFOAの扱いについては次のような公開情報があります。
『PFOSは、残留性有機汚染物質(POPs)の減少を目的に、それらの製造・使用・輸出入を制限する残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)の附属書B(製造、使用、輸出入を制限すべき物質)へ掲載され、日本では、化学物質の審査および製造等の規制に関する法律(化審法)の第一種特定化学物質、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)の第一種指定化学物質に指定されています。』
『一方、PFOAについては、米国環境保護庁においてはPFOA自主削減プログラム(PFOA 2010/2015スチュワードシッププログラム)によって主要フッ素化学メーカー8社による自主的な削減を求められ、日本では化審法の第二種監視化学物質に指定されています。』
PFASへの
対応については特段の公開情報は見当たりませんが、米国の発表を受けて何らかの対応がとられるものと思われます。
一般の利用者にはどうすることもできない問題ですので、関係各所での誠実な対応を求めたいと思います。