鍵を握るのは「腸内細菌」

腸内細菌は500~1000種類の細菌で成り立っており、しかもその数はおよそ100兆個(人の細胞は約37兆個)といわれているそうです。


 

食事に対する感受性は、ゲノムが50%。しかし、残りは意外にも腸内細菌で決まっているらしいのです。

腸内細菌と聞くと、大腸菌や乳酸菌がすぐに連想されますが、実際には500~1000種類もの細菌で成り立っています。しかもその数は膨大で、およそ100兆個といわれています。人の細胞が約37兆個ですから、その3倍近くもいるわけです。そのバランスが大切なのです。

彼らは、我々が食べた食べ物の余りや、植物繊維など消化できないカスを餌にして暮らしていますが、その過程でさまざまな物質を排出します。それが我々の健康にとって、良くも悪くも重要な役割を担っているのです。

たとえば、ある種の細菌は、発がん物質をつくり出します。つい先日も大阪大学と国立がん研究センターのグループが、大腸がんと腸内細菌の種類に相関が見られることを発見し、テレビや新聞で取り上げられていました。また肝臓がんも腸内細菌と深く関わっているとする研究があります。

【日刊ゲンダイDIGITAL 配信】

細胞のガン化に

大きな影響を与えるものとして免疫力があり、そして「人の免疫力は腸内細菌によって決る」というような発表もありましが、「がんも慢性炎症も肥満も腸内細菌が深く関わっている」と言われると、さすがに「本当かな」と思う人も多いのではないでしょうか。

報道によりますと、人の細胞が約37兆個なのに対して、腸内細菌は約100兆個(種類は500~1000)あり、それらが何らかの物質を作り出す(排出する)そうで、それらの物質によって様々な状態が引き起こされるということだそうです。

確かに

一つ一つはほんの少量であっても、それを100兆倍すると(実際には全てが同じ物質を作ることはないでしょうからこれは架空の計算になりますが)、その及ぼす影響力は少なからずあるものと思われます。

ましてやそれらの腸内細菌の構成がまちまちで、状況によってどんどん変化するとなると、いささか不安な気持になりますが、果たして何らかの制御方法はあるのでしょうか。

他の発表によりますと、

『腸管内に分泌されるIgA抗体は粘膜面の病原菌防御だけでなく腸内常在細菌の制御にも重要であり、それらの共生関係の維持にも極めて重要であると考えられる』そうです。

つまり『腸管内には多種多様な細菌が常に生息し、通常、宿主と平和的な共生関係を築いているが、この腸内環境(共生関係)が崩れると炎症性腸疾患や肥満、糖尿病をはじめとする生活習慣病、大腸がんなど各種疾患の発症につながるため、この関係を恒常的に維持することが健康維持に重要である』ということで、そのためにもIgA抗体というものが重要で、多くの人の注目を浴びているそうです。

植物由来の乳酸菌として

乳酸菌B240というものがあるそうですが、この乳酸菌B240についての記事がありました。

『乳酸菌B240を口から摂ると、胃を通過し、栄養を吸収する役割を果たす小腸に到達します。小腸に存在するパイエル板(せん毛が未発達な部分)は、乳酸菌B240を細菌やウイルスなどと同じく”異物”と認識して取り込むことによって、「B細胞」が分化した「抗体産生細胞」から腸内でIgAが分泌されます。分泌されたIgAは、体内に侵入して病気を引き起こそうとしていた細菌やウイルスにくっつき、それらの病原体の体内への侵入を防ぎ、排出することで、体を守るわけです。』

乳酸菌を

多く含む食品としてはヨーグルト、チーズ、味噌、漬物、乳酸発酵飲料などがありますが、これらを摂取して乳酸菌(善玉菌)を増やすことで(中でもIgA抗体が分泌される植物由来の乳酸菌B240を増やすことで)、腸内環境を良好に保つことができ、結果的に健康を維持できるということになるようです。

それにしても多種多様な大腸菌(細菌)との共生など、人体(生物体)の不思議な現象を知るたびに、いわゆる「宇宙の神秘」の壮大さに圧倒されますが、皆さんはいかがでしょうか。