中国の一帯一路に問題噴出 関係国悲鳴

中国が推進するシルクロード経済圏構想「一帯一路」をめぐり、パキスタンやマレーシアなどの関係諸国でトラブルが噴出しているそうです。


 

中国が推進するシルクロード経済圏構想「一帯一路」をめぐり、パキスタンやマレーシアなどの関係諸国でトラブルが噴出している。重い債務負担に苦しむ国が相次いでおり、中国からの借り入れを「債務のわな」と警戒する動きが広がる。習近平国家主席の提唱から5年が過ぎ、地球規模の壮大な構想は曲がり角に差し掛かっている。

中国の友好国であるパキスタンは「一帯一路プロジェクトの要衝」(北京の外交筋)と言われる。現在、中国西部とパキスタン南西部グワダル港を結ぶ中パ経済回廊(CPEC)の構築が進むが、襲撃が相次げば事業の遂行に影響が出かねない。

スリランカでは中国からの借り入れで港湾を整備した結果、返済不能に陥り、中国国有企業に99年間にも及ぶ運営権を譲渡。債務のわなにはまった典型例と言われた。モルディブでは、中国の資金で住宅開発などを進め、対中債務は国内総生産(GDP)の4分の1超に膨らんだとされる。

東南アジアでも混迷が拡大。マレーシアでは、中国の銀行融資などで建設する東海岸鉄道線計画をめぐり、「マレーシアに何のメリットもない」(マハティール首相)と見直しの動きが出ている。ただ、一方的に中止すれば中国側に多額の違約金を払う必要があり、対応を検討中だ。

中国は15年、日本との競争を制し、インドネシア・ジャワ島の高速鉄道建設を受注。だが、土地収用が順調に進まないことを理由に中国側が資金を出し渋り、今年5月の完成予定が少なくとも2年遅れとなっている。

【時事ドットコムニュース 配信】

一帯一路という言葉は

ニュースでもたびたび出てくる言葉ですが、あらためてその意味を調べてみました。

一帯一路については以下のような記事が公開されていました。

『「一帯」とは、中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパへと続く「シルクロード経済ベルト」を指す。また、「一路」とは中国沿岸部から東南アジア、スリランカ、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸を結ぶ「21世紀海上シルクロード」を指す。 』

『一帯一路とは、今後、数十年かけて、これらの地域に道路や港湾、発電所、パイプライン、通信設備などインフラ投資を皮切りとして、金融、製造、電子商取引、貿易、テクノロジーなど各種アウトバウンド投資を積極的に進め、当該経済圏における産業活性化および高度化を図っていくプログラムのことである。』

つまり

中国の西(中央アジアを経由してヨーロッパへと続く一帯)に中国が中心となって様々な投資を行うことで、その地域の経済を発展させ、ゆくゆくは多くの需要を引き出し、経済的交流を盛んにし、相互に豊かになろう、ということのようです。

確かに投資が増えれば多くの人・物・金が増え、それによって生産や消費が加速されるという側面はあると思います。

ただ

中国という国が共産党一党の独裁国家(非民主主義国)であることを忘れてはいけません。

当然、一帯一路という構想が、中国共産党の描く理想的な状況の創出に利用されることは間違いのないことだと思います。

報道にもあるように、重い債務負担に苦しみ、様々な運営権を譲渡するなど、結果的に土地の占領や資源の収奪といった状況が生み出されていることは否定できないと思われます。

更には

資金の出し渋りという手法により、関係国の国政に関与することも可能で、その結果関係国の自由が阻害されるなど、大きな問題を露呈していると言っても過言ではないと思います。

一帯一路の範囲内にはパキスタンと領有権をめぐってあつれきがあるカシミール地方が含まれており、インドにとっては包囲網の形成につながることに黙ってはいられないという状況もあるようです。

経済発展の根本は、

他国を利用して豊かになるのではなく、両国が共に豊かになることであり、それを担保するのは民主主義の思想と行為です。

従って何らかの構想を打ち立てる場合は、そのことを基本にすべきであり、それが考慮されていない構想は甚だ危険な構想だと言わざるを得ません。

関係各国が

重い債務から開放され、自由な国家運営ができるよう国連が支援すべき問題とも言えますが、その国連が機能不全に陥っていることの影響は大きいと思います。

やはり民主主義国だけの新国連の設立が必要だと思いますが、いかがでしょうか。