韓国の外国人単純労働者の受け入れ

9月の韓国の青年失業率は10%を超え、就活中かアルバイトをする人を除けば、実際に体感の青年失業率が23%という研究結果もあるそうです。

『トラブルの絶えない韓国の外国人単純労働者の受け入れ』

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9月の韓国の青年失業率は10%を超えた。就活中かアルバイトをする人を除けば、実際に体感の青年失業率が23%という研究結果もある。青年失業者40万人の最悪の状況だ。就活うつも平均の3倍と言われる。それでも3K業種など中小企業の場合、求人難に陥っていて、外国人労働者を雇用するところが多い。

法務省の集計によると、今年8月末現在、就職ビザを受けた外国人労働者は102万人だ。これに観光ビザをもらって入ったり、就職の滞在期間が過ぎたのに滞在している不法滞在者33万人を合わせると、全体の外国人労働者は135万人以上になる。不法滞在者は昨年末に25万1041人から今年8月まで33万5000人と急増した。平昌冬季五輪当時、入国審査が緩和された影響などで不法滞在者が急増したと分析する(法務省移民調査課)。

日本政府は少子高齢化による人手不足で外国人労働者を拡大しようとする動きを不安視する人たちもいるようだが、韓国では労働組合が不法滞在者の就職に反対して集会を開いた。「移住労働者センターを血税で支援しながら、国内の建設労働者はそっぽを向く。外国人の人権も重要だが、大韓民国政府は国民の雇用保護に優先的に努めるべきだ」(韓国労働組合総連盟) 韓国労総が、不法滞在の外国人労働者問題を本格的に扱う集会を開いたのは、今回が初めてだ。それだけ雇用に対する危機感を表わしたものといえる。

【WEDGE Infinity 配信】

報道では

韓国の実情をいろいろな角度から見て伝えていると思いますが、日本でも今同じようなことが起こりつつあるようです。

日本での時間外労働(残業時間)は実際には青天井(無制限)でしたが、働き方改革関連法による労働基準法の改正では、残業時間について何段階かのファクターで規制を課しています。

残業時間の上限は

原則として月45時間(1日当たり2時間程度に相当)・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間以内、複数月平均80時間(1日当たり4時間程度に相当)以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません。

原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までとなっています。

更には

月60時間超の残業割増賃金率は、改正前は大企業50%、中小企業25%でしたが、これが改正後は中小企業も50%になります。

施行時期は大企業は2019年4月、中小企業は20年4月からの適用となっています(一定の業務・事業については特例が設けられています)。

この残業規制に関するルール違反に対しては、「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金」の刑罰が法律上定められているとのことです。

つまり

これからは「今まで通り残業させられないので、そのためには安価な労働力で補う必要があり、低賃金でも働いてくれる外国の就業者を増やすことができれば対応できる」という流れが見えてきます。

この問題の根は小泉内閣によって行われた労働者派遣法改正(改悪)にあります。

2003年3月には、例外扱いで禁止だった製造業および医療業務への派遣が解禁され、専門的26業種は派遣期間が3年から無制限になり、それ以外の製造業を除いた業種では派遣期間の上限を1年から3年になっています。

2004年には紹介予定派遣の受け入れ期間最長6ヶ月、事前面接解禁になっています。

これらの改悪により

企業が人材を自ら育成せず、好きな時に派遣会社から補充する傾向が顕著になりました。

人材は人財としての正規社員から不安定な非正規社員へと転落し、その結果、所得税や年金などの安定納付という側面にも大きな悪影響が生じました。

結局、

残業時間の制限についても、派遣社員を大幅に増やし正規社員を少数に限ったことが原因となっているものと思われます。

最終的には正規社員に全ての責任が押し付けられるため、派遣社員への指示や納期遵守などの必要性から重圧がかかり、結果として過労に繋がり、最悪の場合に死を招くことになったという社会問題が、残業制限の必要性を生み出したものと思われます。

そのように考えるなら

全ての問題は企業が人を育てなくなったということにあり、そこを是正すべきだと思われます。

今国会では外国人労働者を増やそうという法律が議論されていますが、これはある意味では、派遣社員をさらに拡大する(外国からの派遣社員を増やす)という側面を持つものだと思います。

これまでの派遣法によって大混乱が生じていることを思えば、それをさらに拡大することが何をもたらすかは、ある程度予測できるのではないでしょうか。

今までは

正規社員と非正規社員の溝(問題)が諸制度に悪影響を及ぼしてきましたが、今度は日本の非正規社員(派遣社員)と外国の労働者との間に新たな溝(問題)が発生し、さらなる悪影響が懸念されます。

解決策は何よりも企業が人財を育てることに戻る(戻させる)べきだと思います。

その人達が中心にならなければ、時代の変化による様々な問題を調整することはできないと思いますが、いかがでしょうか。