「少子高齢化で社会が破綻」は誤解

子ども含む無業者1人をどれだけの有業者が支えないといけないかという「有業人口依存指数」というものがあり、これによると1950~1980年代にかけては、有業者1人が1人以上の無業者を支える社会であり、むしろ昔のほうが有業者にとって負担の大きい社会だったというデータがあるようです。

『「少子高齢化で社会が破綻」は大いなる誤解だ』

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日本の人口減少は不可避です。このまま推移すれば、2100年には人口5972万人と現在の半分以下になると推計されています(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)報告書」、出生中位(死亡中位)推計)。これはちょうど1925年(大正14年)の人口5974万人(総務省統計局「大正十四年国勢調査結果の概要」)とほぼ同等です。

(略)

人口減少すると労働力が不足するという問題があります。高齢者比率の増加に伴い、現役層の15~64歳の生産年齢人口比率が下がり続けるからです。内閣府「平成30年版高齢社会白書」によれば、65歳以上高齢者1人に対する生産年齢人口(15~64歳の者)は、2015年の2.3人から、2065年には1.3人へと激減します。現役層1人がほぼ1人の高齢者を支えるということです。

(略)

0~14歳の年少人口含む生産年齢人口依存指数でみると、頂点の1990年代頭のバブル期と比べて半分以下に激減しますが、高齢者人口比率が上がるわけですからそれは当然です。一方、有業人口依存指数は、1950年代から現在に至るまで、むしろ増えていることがわかります。頂点は、生産人口と同様バブル期ですが、それでも無業者1人を1.1人の有業者が支えていたことがわかります。それ以前の1950~1980年代にかけては、有業者1人が1人以上の無業者を支える社会であり、むしろ昔のほうが有業者にとって負担の大きい社会だったのです。

【東洋経済ONLINE 配信】

かなり以前から

「少子高齢化」という問題が指摘されてきましたが、今回の報道は、この問題を考える上で大変参考になるものと思われます。

この問題は単純に言えば、「働かなくなる(リタイアする)人が増え、相対的に働く人が減るので、働く人の負担が増えて社会が破綻する」ということになると思いますが、必ずしも単純なものではないようです。

対比する書き方をすれば、

1950~1980年代は人口統計からすると、働かなくなる(リタイアする)人よりも、働く人が多いのでかなり余裕のある社会のように見えますが、報道では、実際にはこの頃の方が働く人の負担が大きかったという指摘がなされています。

つまり単に人口構成だけで考えると若い人が少なくなり、高齢者が増えるので大変そうに見えますが、実際には若い人でも子供や学生で働かない人もいれば、65歳以上でも働く高齢者もいるということで、統計値の見方を有業者(働いている人)と無業者(働いていない人)で見る必要があり、それによると別の結論になった、ということのようです。

統計値の詳しいことは分かりませんが、

1950~1980年代は団塊の世代の子供達もたくさん生まれており、また専業主婦も多く、大学に行く人も増え、更には不況で仕事がなかったなど、いろいろ考え合わせると有業者よりも無業者が多かったという統計値に無理はないような気がします。

つまり人口統計上、働ける人が少なくなり、働けなくなる人が多くなるとしても、実際に働く人が少なくなるかどうかは別の問題だということになります。

これは

全くその通りだと思います。統計の取り方をもっと現実に即したものにすべきだと思います。

それに加えて「生産性」ということを考慮に入れる必要があります。

農産物にしても工業製品にしても、一人が生産する量が大きく変化していると思います。

仮に

「生産性」が昔の10倍になっているとしたら、また消費量がそれ程大きく増えない(人間の食べる量はそんなに変わらない)と仮定すれば、働く人が10倍になっていることになります。

勿論、企業が生産を止めてしまえば「生産性」も意味がなくなりますので、単純には言えませんが、ただ企業も存続する必要があるので、あまり極端なことにはならないような気がします。

ある意味、

「政府が人口統計に基づいて不安を煽るから、ますます消費が減少し、生産自体を縮小させている」という見方があったとしても、それほど的外れとは言えないのではないでしょうか。

統計値ということでは、もっと現実に即したものが採用されるよう願うと共に、行政府の関係者には、今回報道のような専門家の意見に、もっと謙虚に耳を傾けていただきたいと思います。