官房機密費 闇の温床、下野直前消滅

20日に大阪市内で記者会見した市民団体の弁護団は、機密費の大半が領収書が要らない「政策推進費」として使われている実態を指摘し、運用改善を求めたそうです。

『官房機密費 闇の温床 自民、下野直前2.5億円消滅』

https://mainichi.jp/articles/20180321/k00/00m/040/193000c
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「毎年10億円以上が闇に消えるのは異常だ」。政府が初めて開示した内閣官房報償費(官房機密費)の支出に関する文書。20日に大阪市内で記者会見した市民団体の弁護団は、機密費の大半が領収書が要らない「政策推進費」として使われている実態を指摘し、運用改善を求めた。

「請求から11年かけてようやく文書が開示されたが、領収書もなく使途を検証できない」。市民団体「政治資金オンブズマン」の阪口徳雄弁護団長は声を荒らげた。1月の最高裁判決を受け、国は一部の書類を開示したものの、支出の9割は領収書が不要な政策推進費だった。弁護団が特に問題視したのは、2009年9月、麻生太郎内閣の河村建夫官房長官(当時)が機密費2億5000万円を引き出したことだ。8月30日の衆院選で民主党が圧勝し、自民党の下野が決まっていた。

開示文書によると、9月8日、国庫から2億5000万円が官房機密費に入金。同10日には、官房長官が管理する政策推進費に全額が移された。民主、社民、国民新党の連立で鳩山由紀夫内閣が発足した同16日、残額はゼロになっていた。阪口弁護団長は「政権が終わる直前に何のために使ったのか。適正な支出とは思えない」と指摘。河村氏の事務所は取材の申し込みに「20日中の回答は難しい」と答えた。

機密費は過去に不透明な使途の一部が表面化した。02年に共産党が、1991~92年の宮沢喜一内閣時代の「機密費の支出を記載した文書」を公表。国会議員のパーティー券や商品券に使われた実態を明らかにした。

【毎日新聞 配信】

日本の内閣には

官房長官の裁量で自由に使える内閣官房報償費(官房機密費)があるそうです。

この金額は年間約14億円で、うち約2億円は内閣情報調査室に振り分けられるから残り約12億円となり、ひと月あたり約1億円のお金が使途を公表されることなく誰かに渡されている勘定になるとのことです。

ただ、これは予算上の数字であって、実際にはそれに加えて、年間約55億円の外務省の「外交機密費」の一部(=約20億円)が上納されていることも考えられ、官邸の機密費の総額は30億円をゆうに超えるという見方もあるようです。

官邸の経費を

外務省が負担するというイレギュラーな仕組みがつくられたとすれば、その理由については、本来の官房機密費では足りないので同じ機密費である外交機密費からひっぱってきたものということが有力なようです。

この官房機密費は、一説には政権党内の調整や、野党との調整に使われているとのことですが、要は丸く収めるためにお金が渡されているということのようで、多くの国民には決して納得できるお金とは言えないのではないでしょうか。

ちなみに

ウィキペディアによると次のような記述がみられます。

『内閣官房報償費は、国政の運営上必要な場合、内閣官房長官の判断で支出される経費。内閣官房機密費とも呼ばれる。会計処理は内閣総務官が所掌(閣議決定などに基づく各本部等については当該事務局が分掌)する。支出には領収書が不要で、会計検査院による監査も免除されており、原則使途が公開されることはない。1947年度から予算計上されるようになった』。

『2002年度予算で前年を10%下回る14億6165万円になって以来、2009年現在まで同額が毎年計上されている。そのうち12億3021万円が内閣官房長官に一任され、残りは内閣情報調査室の費用にあてられている。以前から「権力の潤滑油」などと呼ばれ、不透明な支出に疑惑の目が向けられていた。また、官房長官が交代目前に多額の機密費を引き出していることが問題視されることもある』。

1947年度から

こんにちまで予算計上され続けているとのことで、たとえ原則使途が公開されることはないといえども、少なくとも不正なことには使われていないことや、何故それが必要なのかということについては、説明が為されるべきだと思います。

そして依然としてその必要性が認められるということであれば、50年後に使途を公開するとか、緊急時には一部公開を認めるとか、いわゆる全くの闇から闇に葬ることのできないような仕組みにする必要があると思います。

ひと月あたり約1億円のお金が使途を公表されることなく誰かに渡されているということは、民主主義の考え方からはかなり外れているような気がしますが、いかがでしょうか。