改ざんの発端は“昭恵夫人隠し”

小泉純一郎元首相が安倍首相と麻生財務相を痛烈に批判したそうです。

『小泉元首相キッパリ指摘 改ざんの発端は“昭恵夫人隠し”』

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“安倍降ろし”の先頭に立つ小泉進次郎氏に、“援軍”が現れた。父親の小泉純一郎元首相が安倍首相と麻生財務相を痛烈に批判したのだ。

小泉元首相は13日、BSテレビの番組に出演。公文書改ざんを指示した佐川宣寿理財局長の国税庁長官就任について「国税庁長官になって記者会見を一度もしていない。ひどいなあと思っていた」と述べた上で、「安倍首相も麻生さんも“適材適所”と何度も言い切った。これには呆れたね。判断力がおかしくなっているんじゃないか。誰も適材適所と思わない」と切り捨てた。

さらに、安倍首相が昨年2月、自身や昭恵夫人が国有地売却に関係していたなら首相も国会議員も辞めると述べたことが改ざんの発端となったとの見方を示した。「財務省は(昭恵夫人が)関係していると知っていたから、答弁に合わせるために改ざんを始めた。(財務省が)忖度したんだよ」と指摘した。

まさしく、森友疑惑の核心を突いている。

【日刊ゲンダイDIGITAL 配信】

小泉氏のコメントは

いつでも歯切れが良い。

物事を単純化する能力に長けているのか、あるいは複雑に考えることに抵抗があるのか、聞き手にとっては小気味良ささえ覚えるほどです。

非正規雇用を爆発的に増やした張本人とも言われる人ですが、それはさておき、この報道にあるコメントについては極めて妥当性のあるものだと思われます。

次第に

全体像が見えつつありますが、要するにその発端は内閣人事局の誕生にあるようです。

つまり、これまで官僚主導で行われてきた幹部の人事権を内閣人事局に一元化し、官邸主導で審議官級以上、約600名の人事を決定することにしたことが発端で、そのため官僚が必要以上に政治家を忖度するようになっていったということが全ての始まりのようです。

今回書き換えられる前の資料には、首相夫人の名前や何人かの政治家の名前が出ているようですが、つまりはそれらの関係者を忖度する必要に迫られての佐川氏の国会答弁であり、またその答弁に合わせた書類の改ざんだったものと思われます。

簡単に言えば

「自らの人事権を握っている政治家の顔色を見て、彼らの望む方向に行政を歪めた」ということになるのではないでしょうか。

公文書の書き換えというキャリアを傷つける汚れ行為を行う理由は、それによって逆にキャリアを高めるという理由の他には考えられません。

現実に佐川氏は一時、国税庁長官という上のポストを手にした訳で、そのままでこの問題が収束したなら正に「思い通り」ということになったと思います。

官僚が

政治家を忖度する様子は当の政治家に分からない訳がなく、つまりは政治家の方もそれを暗黙のうちに利用するという傾向が強まることも、ごく自然なことだと思います。

つまり内閣人事局の誕生は、官僚の腐敗を助長し行政を歪める(立法と行政の癒着の)最大の要因といえるのではないでしょうか。

この内閣人事局は

中央省庁の幹部人事を一元管理するということで2014年5月30日に発足したもので、各省庁の縦割り人事を改め、首相官邸の主導で弾力的な人材登用を進めるのが狙いだったとされています。

具体的には、同局が各省庁の部長・審議官級以上の職員約600人について、適格性を審査した上で幹部候補者名簿を作成し、各大臣が名簿を基に人事案を作成し、首相・官房長官との協議を経て、最終的な人事が決まる仕組みとなっていました。

皮肉にも

首相官邸の主導で弾力的な人材登用を進めるはずが、首相官邸の顔色を伺う人材登用を進めてしまったということになり、甚だ嘆かわしい限りですが、このことを一つの教訓として、今後は官僚が官僚としての尊厳を保てる仕組みへと転換が図られるべきだと思います。

今回の問題は「権力の集中は個々の尊厳を奪う」という教訓を残しましたが、この「個々の尊厳」こそが民主主義の根幹であることを改めて知らされた思いです。