過去最大の内部留保、賃上げ原資に回るか

SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは、「設備投資の増加は中堅企業に集中しており、景気の牽引役として位置づけるには力不足だ」と指摘しました。

『内部留保、過去最大の417兆円 賃上げ原資に回るかが持続成長のカギ』

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平成29年10~12月の法人企業統計調査によると、企業の内部留保にあたる利益剰余金が前年同期比11.2%増の417兆円で、四半期ベースで過去最高となった。経済の持続成長に不可欠な個人消費の拡大に向け、政府は内部留保を設備投資や社員の賃上げに振り向けるよう求めている。しかし、内部留保は積み上がる一方で、企業側は慎重姿勢を崩していない。

経済の成長を押し上げるには、実質国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費の拡大が重要課題で、そのための賃上げは不可欠。ただ、企業の収益がどれだけ労働者に配分されたかを示す「労働分配率」では、10~12月の大企業の分配率は43%台と、低水準を抜け出せていない。労働力不足にもかかわらず、企業側の賃上げ意識は低い。

企業の設備投資は個人消費と並ぶ内需拡大の核となるが、決して高い水準ではない。10~12月の設備投資は4.3%増の11兆4千億円で、過去25番目の水準に伸び悩む。将来に向けた投資に対しては“極めて消極的”と断言するアナリストの声も聞かれる。

SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは、「設備投資の増加は中堅企業に集中しており、景気の牽引(けんいん)役として位置づけるには力不足だ」と指摘。投資が伸び悩む要因について、「人口減少が続く国内の個人消費が見込めず、複数の企業が国内需要の拡大展望を描けていないため」と分析する。

【産経ニュース 配信】

どうやら

企業は人口減少が続く国内では個人消費が見込めないために設備投資をためらっているようです。

ただ設備投資の増加は中堅企業に集中しているとのことで、大企業との違いが浮き彫りになっています。

つまり

大企業はグローバル化が進んでいるため、世界的規模で活動できることもあって国内での設備投資の増加をためらっているけれども、中堅企業は国内での活動が中心であるためためらいはない、ということだと思います。

このことが示すようにグローバル企業は国内経済秩序とは無関係に活動しており、国内経済に重心を置く中堅企業が設備投資を増やしたり、人件費を増やしたりして増大させた消費力を、これ幸いにと自分たちの生産物に利用(タダ乗り)しているのが現状といえます。

企業のグローバル化は

もはや経済の暴走といえるもので、国単位の経済秩序の破壊者といっても過言ではありません。

国単位の経済秩序に関係なく、人件費の安い国で生産し、売れる国で販売し、つまりは「自らは最低限の消費力を提供する代わりに膨大な生産力を市場で消化させて」利益を貪っています。

貿易を隠れ蓑に

暴利を貪るグローバル企業には、断固として市場で消化した生産力に見合う分の消費力を負担させる必要があります。

今後は多くの利益を背景に、AIなどの自動化を取り入れ、更に多くの消費力を貪ることは間違いありません。

今、国単位でみた場合、

一番まともといえる中堅企業が、懸命に作り出している消費力を横取りされる前に、政府は強力な政策(グローバル企業への徴税強化や、紙幣の増刷と「消費が約束された分配」など)を講じるべきだと思います。

そうしなければ、やがては消費が低迷し、それと共に生産が鈍化し、結果として生産性が低下し、庶民の生活の質はどんどん下がることになります。

どちらかというと

物をたくさん買わされている国は、その提供している消費力に見合う対価を強力に要求すべきだと思います。

その意味では、グローバル企業に対しては各国が協力して対応すべき時がきていると思います。

手遅れにならないうちに、各国政府によって秩序回復のための強力な政策が講じられることを願うと共に、グローバル企業自らが、自分達の振る舞いを振り返り、消費力についての考察を深め、進んで協力する姿勢を示す日がくることを期待したいと思います。