人工知能が脳を刺激して「記憶力を向上」

ペンシルヴェニア大学の研究者らが、完璧なタイミングで脳に刺激を与えることで記憶力をリアルタイムで向上させることに成功したそうです。

『人工知能が、脳を刺激して「記憶力を向上」させる方法を見つけ出した:米研究結果』

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機械学習アルゴリズムを使ってヒトの脳の記憶の仕組みを理解する方法を、ペンシルヴェニア大学の研究者らが発表した。しかも、完璧なタイミングで脳に刺激を与えることで記憶力をリアルタイムで向上させることにも成功したという。いったいどのような研究なのか。

2018年2月6日公開の「Nature Communications」で、ペンシルヴェニア大学の心理学者マイケル・カハナが率いる研究チームは、機械学習アルゴリズムを使って人間の記憶の仕組みを解読し、さらに記憶力を強化することができると証明した。

どうやって強化するのか? 脳に完璧なタイミングで電気信号を送らせるのだ。これはつまり、研究者たちはAIというブラックボックスを使って、脳というもうひとつのブラックボックスの潜在能力を引き出せることを意味する。

【産経ニュース 配信】

ウィキペディアによりますと、

『機械学習とは、人工知能における研究課題の一つで、人間が自然に行っている学習能力と同様の機能をコンピュータで実現しようとする技術・手法とのことである。』とのことです。

記事によりますと、人間の脳が記憶する時には特定の電極反応があるそうで、これを応用して、低機能状態の脳の記憶を司る領域に刺激(電気信号)を与えることにより脳の機能を高め、記憶力をより向上させることができたということです。

但し

この刺激を与えるには完璧なタイミンが必要で、数百ミリ秒の間に脳に刺激を与えるかどうかの判断を下す必要があるとのことで、そのためのツールとしてAIを用いる可能性のあることも視野に入れているようです。

脳の働きについても、またAIの働きについても不確定要素がたくさんあり、その意味では両者ともブラックボックスという存在であり、それ故に互いの潜在能力に対する期待も大きいということのようです。

将来的には

人間の脳の反応についても細かく研究され、またAIについても一定の制御が可能になるものと思われますので、この分野の研究も一層進展し、知的活動の際には脳の低機能状態を高機能状態に変えることで、誰もが超人的能力を発揮できるようになるのかも知れません。

人間の能力は様々で、たとえば映像記憶ができる人は瞬時にページ全体を記憶し、さらには後からそれを正確に思い出すことができるとのことで、テレビ番組でも紹介されていましたが、普通の人がそのような能力を発揮することができれば、創造的分野などにおいても考えられない程の大きな成果をもたらすことは、間違いないものと思われます。

ただそれは又、

それを利用できる人とそうでない人を作り出し、新たな差別化を生むことにもなりかねませんので、運用時においては、難しさを伴う課題であることを充分考慮に入れて実施される必要があるものと思われます。

現在でも塾に行ける子供達とそうでない子供達とでは格差が広がっていますので、更に脳機能の向上という点で格差が生れる社会がくるとすれば、いわゆる階級社会の再現という歴史に逆行する事態を招くことになり、慎重に扱われるべき課題の一つといえるのかも知れません。

技術はそれを用いる人によっては好ましくない結果をもたらすものでもありますので、慎重な運用が行われるよう関係者の英知に期待したいと思います。