がんゲノム医療、100病院で検討

がんの遺伝情報を活用し、一人ひとりに最適な治療を選ぶ「がんゲノム医療」について、全国100か所程度の病院が2018年度から患者向けの診療を始める検討をしているそうです。

『がんゲノム医療、100病院で検討…全国整備へ』

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がんの遺伝情報を活用し、一人ひとりに最適な治療を選ぶ「がんゲノム医療」について、全国100か所程度の病院が2018年度から患者向けの診療を始める検討をしていることが、厚生労働省への取材で分かった。

がんゲノム医療は、がんの原因となる遺伝子変異を調べ、変異に応じた薬を選ぶ治療法。治療の選択肢がなくなった患者にも効果的な薬が見つかることがある。

厚労省は、中心的な役割を担う「がんゲノム医療中核拠点病院」を公募、3月までに12か所程度を指定する方針。国立がん研究センター中央病院(東京・築地)などが想定されている。

中核病院は、患者を直接診療する「がんゲノム医療連携病院」とグループを作り、医療を提供する。厚労省によると、中核病院と連携病院を合わせ、実施医療機関として100施設程度が検討を進めている。

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人の全遺伝情報(ヒトゲノム)は

2003年に解読が完了し、それから15年になろうとしていますが、この間、遺伝子解析装置(シーケンサー)の進化によりゲノムの解析コストは劇的に下がったそうです。

2014年12月には、『日本人に特徴的な遺伝情報を短時間で解読可能なゲノム解析ツール「ジャポニカアレイ」を用いることで、従来1カ月以上の時間と1人当たり50万円以上の費用がかかっていたゲノム解析を、約1週間、1人当たり1万9800円(税抜き)で可能にした』という報道もありました。

つまり

各個人の遺伝子情報(DNAの塩基配列)は、コンピュータを用いたツールにより、自動的に解読・解析できる時代になったようです。

この遺伝子情報が分かれば、患者のがん組織などをもとに、がんに関連する遺伝子に異常がないかを網羅的に調べることができるため、適した治療薬を選んで使う医療が可能になります。

最初に

がんができた場所によって治療法が異なるため、網羅的に調べることは大変重要なことだといわれています。

遺伝子検査をすると、今後悪化する可能性が高いかどうかも予測できるそうで、手術をすべきか判断するために遺伝子検査を行い、検査の結果、悪化する可能性が高いと分かり、手術はしないで抗がん剤だけで治療することになったという事例もあるそうです。

ゲノム医療は、

国内では2015年から京都大学などで始まったそうですが、北海道がんセンターでは2017年7月に、「プレシジョン検査」と呼ぶ独自の遺伝子検査を開始したとの報道もみられました。

他にも、北海道大学や岡山大学、千葉大学など、複数の大学で行われているようですが、これらの大学の中には米国に患者の組織などを送って検査してもらう場合もあり、この場合は米国で先がけて開発、導入されたため実績がある半面、結果がわかるまでに4週間以上、費用も90万円近くかかるのが難点という指摘もあるようです。

国立がん研究センター中央病院は

1月12日に、遺伝子検査法を先進医療に申請(がんゲノム医療分野では初申請)したとのことです。

同病院では2013年から民間企業とともに検査機器(次世代シーケンサー)を開発し、研究の一環として患者の遺伝子を調べ、治療につなげてきており、計画では、治療の選択肢のない最大350人の患者を対象に126種類の遺伝子を調べるそうです。

自由診療では

100万円程度の検査費用のほか、診察や投薬などの費用も含めすべて自己負担になりますが、先進医療になれば検査以外の通常の診察などは保険(自己負担1~3割)が適用されるため、より負担が軽減されます。

先進医療は、将来的な保険適用に向けた評価をするために実施する制度であり、厚生労働省は、この検査法について、先進医療としての実績を踏まえて19年度の保険適用を目指しているそうです。

今後はこのように厚生労働省も、保険適用とする遺伝子検査の範囲を広げていくと予想されており、庶民にとっては朗報ともいえますが、問題はそのスピードで、十数年ではなく、数年という時間での適用となることを期待したいと思います。