「宇宙マップ」を描く道が開けた

宇宙を構成する物質の中の、われわれが知覚できるとされる物質「バリオン」以外の、残りの物質「ダークバリオン」の検知に2つの研究グループが成功したそうです。

『「宇宙に隠れていた「ダークバリオン」の検出に成功──「宇宙マップ」を描く道が開けた』

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宇宙を構成する物質のうち、われわれが知覚できるとされる物質「バリオン」。これまで理論値の半分しか観測できていなかったが、その残りである「ダークバリオン」の検知に2つの研究グループが成功した。これにより、現在の技術で「宇宙マップ」をつくれる可能性が出てきた。

われわれの宇宙には、クモの巣状に分布したダークマターの大規模構造［日本語版記事］がある。そして見えない網の目に沿うように、可視光で観測可能な銀河団が存在しているといわれている。

そのなかに、われわれが知覚できるとされる星や銀河などの普通の物質「バリオン」は、宇宙を構成するもののわずか4.6パーセントにすぎない。そのほかの95パーセント以上は、未知のダークマターやダークエネルギーで構成されているというのが、現在までに行われてきたさまざまな観測、モデル、シミュレーションなどで一致している見解である。

ところが、これまで実際に人類が観測により把握できていたのは、星や銀河、銀河団に存在する高温ガスを足し合わせても、4.6パーセントあるバリオンの半分ほど。では残り半分は、いったいどのような形態で、宇宙のどこに隠れているのだろう？

今回2つの研究グループが同時にたどり着いた技術を用いれば、低密度の物質を含めた宇宙の巨大構造全体が観測可能なことが証明された。

つまり、現在の技術で「宇宙マップ」の描写が可能だということだ。これにより、現在の宇宙論モデルは、より精緻なものに磨き上げられていくことだろう。

【WIRED　配信】

現在、

星や銀河団（陽子や中性子）といった「普通の」物質（バリオン）の観測がすべて可能になっている訳ではなく、しかもそのバリオンは宇宙全体を更生する要素の4.6%にすぎず、残りの72% はダークエネルギー、23%はダークマターといわれているそうです。

さらにビッグバン直後の遠方宇宙において観測されたバリオン量に比べて、近傍宇宙で観測されている量は半分程度にすぎないそうです。

ダークマターと

ダークエネルギーの存在は、これまでにも、さまざまな宇宙観測でわかっていましたが、その存在量を1%の精度で明らかにできたのは、2003年、アメリカが打ち上げた宇宙探査機WMAPが、ビッグバンから約38万年後にプラズマ状態だった宇宙が「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれる時期に入った頃の痕跡である「宇宙マイクロ波背景放射（CMB）」を、数年にわたって精密に観測した地図が決め手になったことによるとのことです。

これらの

正体を突き止めようとする研究は、世界各国で盛んに続けられてきましたが、ダークエネルギーはまだ不明な点が多く、観測方法も模索段階でした。

その一方で、大きな質量を持つと推測されるダークマターについては、加速器で加速した素粒子を衝突させて作り出そうとする研究や、カロリメーターと呼ばれる観測装置を用いて、自然界に存在するダークマターが装置に衝突したときのわずかな温度上昇をとらえようとする観測が試みられてきました。

そんな今回、

2つの研究グループが同時にたどり着いた技術を用いれば、低密度の物質を含めた宇宙の巨大構造全体が観測可能なことが証明されたとのことで、今後はその技術により宇宙の地図が描かれる日も夢ではないようです。