夏時間が死を招く?

睡眠医学の専門家で構成する日本睡眠学会は、08年7月に公表した「サマータイム制度と睡眠」という報告書で、「サマータイムは国民の健康に及ぼす問題が大きい」として再導入に反対しました。

『夏時間が死を招く? 日本導入の影響は…』

https://mainichi.jp/premier/health/articles/20170802/med/00m/010/003000c
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繰り返し議論される日本での制度再導入

日本では第二次世界大戦後の連合国軍総司令部(GHQ)の占領下で夏時刻法が制定され、1948年から51年までサマータイム制度が実施されていました。しかし、寝不足や労働強化につながるとの世論の反発を受けて取りやめになり、夏時刻法そのものもサンフランシスコ講和条約による主権回復後の52年4月に廃止されました。

その後、90年代半ばから、サマータイム制度の再導入が政治の場でも繰り返し議論されるようになりました。2007年には日本経団連が与党・自民党に対してサマータイム導入を提案したこともあります。これに対し、睡眠医学の専門家で構成する日本睡眠学会は、08年7月に公表した「サマータイム制度と睡眠」という報告書で、「サマータイムは国民の健康に及ぼす問題が大きい」として再導入に反対しました。

【毎日新聞 配信】

記事を読むと、

『10歳以上の日本人が22時以降も起きている割合は1960年の32%に対し、2010年では85%で、夜型の人が増えているため、サマータイムの導入により、社会人の出勤時間や学生の登校時間を1時間早めたとすると、就寝時間は容易に変えられないため、単純に睡眠時間が1時間減ることになる。』

『睡眠不足は肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病のほか、うつ病の増加をもたらすことが数々の研究報告で既に明らかになっており、結果的に死につながる可能性を高める。』ということのようです。

その他にも、

外国(スウェーデンやロシア)の統計的データに基づき、急性心筋梗塞の増加の例が紹介されていますし、照明用電力と冷房による電力の統計的データに基づき、省エネ効果の無効の例も紹介されています。

単なる漠然とした想像から「サマータイムはいい」ということで制度化することの愚かさが、この記事によって浮き彫りになったと思います。

人の生活習慣は

なかなか容易に変えられるものではなく、それを無理やり変えようとすると、健康に影響が及ぶという現実を踏まえて、諸制度を考える必要があるということは、政治における一つの重要な視点を提供していると思います。

雇用といえば「正規雇用」という生活習慣が、あまりにも愚かな「非正規雇用の促進」という制度により破壊されたことを思えば、『「現実を踏まえる」という視点を軽視することの危うさ』ということについて、より強く、またより深く、心に刻む必要があるといっても、過言ではないのではないでしょうか。